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Column コラム

ゼロから始める! 山陰の中小企業のためのWebマーケティング基礎!その① 〜Web活用の入口に立つ〜

本稿は、WebやITの活用に課題を感じる中小企業の方向けに、「何から始めるべきか」を整理するための基礎ガイドです。 地元山陰のWeb専業企業である株式会社ヒニアラタが、島根・鳥取の皆さんのためにWeb活用を真剣に考えます。

1. どうにかしなければ、でもどうすれば良いのか分からない

これを読んでいるあなたは、ITやWebと聞くと「難しそう」と思うでしょうか、それとも「得意分野だ!」と思うでしょうか。人によって思いはさまざまですが、そんなことはお構いなしとでも言うように、今や私たちの生活はITやWebと切っても切れないものになってしまいました。

そして多くの人が利用すれば、それだけ企業にとってのチャンスも多くなるということで、都会の大企業から当社のような地方の中小企業まで、ホームページを開設したりインターネット広告を出稿したり、はたまたSNSの動画で踊ってみたりしています。

それだけ当たり前になったWebですが、一人のビジネスパーソンとして「自社のWeb活用」を考えたとき、「こうすれば良い!」と答えを持っている方がどのくらいいるでしょうか。実は「色々考えるけど、結局どうすれば良いのか分からない」という方が案外多いのではないかと、当社では考えています。

私たち株式会社ヒニアラタでは、創業以来、中小企業様のWeb活用についてさまざまな課題を伺ってきました。その中で思うのは、これだけ多くの情報があふれるなかで「結局、どうすればよいのか分からない」という声が数多くあるということです。そうした声があがる理由はいくつかありそうですが、「情報量が多く流れも早いので、自社に必要な情報を取捨選択しきれない」という点と「専門的で難しそうなので敬遠しがち」という点が大きなものになりそうです。

本冊子では、中小企業の経営者様やWebの担当者様が「自分の会社にあてはめてWeb活用について考えられるようにする」を目標にしています。読み進めていただければ、最終的に「どうすれば良いのか分からない」から「じゃあ、こうしてみようかな」に変わっていくはずです。そのための第一歩として、まずはWebマーケティングについて考えていきましょう。

2. Webマーケティングは「仕組みづくり」

企業におけるWeb活用において、よく出てくるのが「Webマーケティング」というキーワードです。この言葉は、横文字であるせいか少し近寄りがたい感じがし、「マーケティング」という言葉自体がざっくりしているため、具体的なイメージもしづらい言葉です。そのため「Webマーケティング」という言葉が出てきただけで、なんだか難しそうな気がしてしまいます。

それでは、そんな「Webマーケティング」というキーワードをどのような意味として捉えるのが良いのでしょうか。私たちは「Webを使った商売の仕組みづくり」と捉えるのが一番分かりやすいと思っています。

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図1をご覧ください。これは当社がお客様とお話するときに使うマーケティングファネル(Webを使った商売の仕組みについて、その構造をイメージ化したもの)です。図の一番左側「潜在顧客」というのが、これから貴社の顧客になる人たちです。その人がだんだんと右側へ、つまり最終的には貴社のファンになり、他の人へ貴社の商品やサービスを推奨するところまで進んでいきます。すると、そこで紹介された人がまた「潜在顧客」となり、という具合に、どんどん貴社の顧客が増えていきます。Webマーケティングとは、つまるところ「Webを使ってこの図の仕組みを上手に作り上げていくこと」にほかなりません。

3. タイミングによる打ち手(施策)

Webマーケティングでは「Webを使った」仕組みづくりを行っていきます。具体的には、図1の一番左にいる潜在顧客を一番右側まで進んでいけるよう、Webを使って各段階それぞれの場面に必要な打ち手を打っていきます。

さて、実はここで一つ大切なポイントがあります。それはこれから初めてWebマーケティングに取り組む中小企業様が、今後の施策を上手に進めていくコツでもあるのですが、「一度に沢山のことをしない」ということです。

理由は簡単で、その方が効率的に予算を利用できるからです。一度に沢山のことをするとその分費用も高額になり、効果測定時にも「どの施策が効果的だったのか(もしくはダメだったのか)」の判断ができず、効率的な商売の仕組みを作っていくうえで時間的・予算的なロスが発生してしまいます。

また、これは副次的な効果ですが、そうした効果測定をしつつ、中長期的な視野に立って商売の仕組みづくりを考えていくことは、貴社で働く従業員様の教育になるという側面があるようです。特に当社では分析手法などを秘匿しておらず、お客様と一緒に考えるような体制をとっているため、お客様から「若手スタッフのトレーニングになって助かる」というお声をいただくことがあります。

それでは、具体的なタイミングと打ち手について考えていきましょう。

3-1. 潜在顧客に対する打ち手

潜在顧客とは、まだサービスや商品の購入意図を持っていない客層で、いずれ顧客になり得る人たちのことです。例えば「一人暮らしで寂しいな」と感じている人が、ペットショップの広告を見て「小型犬が欲しい!」と思った場合、広告を見る以前は潜在顧客ですが、「小型犬が欲しい!」と思ったあとは顕在顧客(潜在顧客の反対の意味。サービス・商品の購入意図がある)となります。

潜在顧客は「(潜在的な欲求はあるものの)まだ求めていない」というのが特徴です。この場面での打ち手としては、ディスプレイ広告(画像広告)や動画広告(YouTube広告等)のような広告費を払って行う積極的なプロモーションのほか、SNSやブログへの記事投稿など、偶然何かのタイミングで潜在顧客の目に触れたとき「ペットという手もあるのか、それもいいなあ」と思ってもらえるようなコンテンツを用意しておく方法があります。

文字通り「潜在」的なお客様であることから、どの人が顧客になり得るのか見分けがつきにくく、ターゲットを絞りきれない「ばらまき型」の施策になりやすいのが特徴です。

3-2. 顕在顧客(認知のステージ)

「欲しい」という購入意欲が顕在化している顧客ですが、まだ「どこで、どの商品・サービスを買うか」は決まっていない状態です。この状況の顧客層には、まず貴社のサービス・商品があるということを認知してもらう必要があります。またここでいう認知とは、そのサービス・商品の存在を知ることですが、顧客が初めてそのサービス・商品を目にしたとき、そのタイミングで何かしらの印象を抱きます。その後の展開を有利に進めていくため、このときの印象をどのようなものにしていくのか、意図的に設計する必要があります(ブランディング)。

認知・ブランディングにいる顧客層へアプローチするには、リスティング広告(GoogleやYahoo!でキーワード検索するとき、そのキーワードに応じて表示される広告)や、潜在顧客層でも利用したディスプレイ広告、動画広告などが有効です。

一般的に「欲しい」という購入意欲が顕在化した顧客は、GoogleやYahoo!で情報を調べます。先のペットショップの例でいくと、「島根 ペットショップ」というような形で検索が行われます。このとき検索結果と一緒に画面に表示される広告をリスティング広告と呼びます。顧客が求めている内容に広告がマッチしているため、ディスプレイ広告などより反応率が高いのが特徴です。

認知のステージでは、顧客はまだ「どんなショップがあるかな」と調べている段階です。「まずは土俵に上がる」ということをイメージすると理解しやすいかもしれません。

3-3. 顕在顧客2(興味関心のステージ)

貴社のサービスや商品が認知されたあと、競合サービス・商品との戦いが本格的に始まります。多くの場合、企業が提供しているサービス・商品には競合や代替商品が存在します。そうしたライバル商品をおさえて顧客に選んでもらうため、まずは自社のサービス・商品に興味を持ってもらおうというのが、この興味関心のステージです。

顧客の興味関心を引くためには、「どのような人が、どのような目的で、この商品の情報を探しているか」を意識することが大切です。そこで、多くの場合「ペルソナ」という架空の人物像を設定し、その人物がどのような心理状態であるかを考えながら、仕組みづくりを進めます。ペルソナ設定については後述しますが、要点を間違えないことが重要です。例えばペットショップの例において、ペルソナは「動物が好きな人」ではなく、「いまの生活に寂しさを感じている人」などと設定すると良いでしょう。

ペルソナを設定したら、そのペルソナに響きそうな内容のWebサイト、Webを使ったPRを行っていきます。ペルソナを用意することでターゲットを絞れますが、複数のペルソナを用意する場合は、異なるペルソナごとに広告内容や表現方法を変える必要があります。

3-4. 顕在顧客3(比較・検討・信頼のステージ)

顧客は貴社のサービス・商品に興味をもったあと、いくつかに候補を絞ったうえでどれを購入するのか比較・検討します。このとき重要になってくるキーワードが「信頼」です。

顧客は興味関心を持って、複数のサービス・商品を比較しますが、最終的な決め手になるのは「信頼」です。仮に「一番安いところで買おう」と価格で比較する顧客の場合でも、その心理には「一番安いものでも大丈夫だろう」というある種の「信頼」が存在していなければ購入に至りません。つまり、顧客に比較・検討してもらうためには、そもそもその根底に「信頼」が必要なのです。

その「信頼」を得るには、どのような施策が必要でしょうか。よく用いられるのは、「口コミ」「お客様の声」をWebサイトに用意するなどして、第三者の客観的な意見という形をとり、それを見た顧客の信頼を得る方法です。

また、単純接触効果(ザイオンス効果)といわれる「顧客との接触回数が多い方が少ない方よりも好感(信頼感)を持たれやすい」という心理作用を狙い、一度自社サイトを訪問した人に広告を出すリマーケティング広告や、リスティング広告を用いてサービス・商品名を表示する(顧客が「ペットショップ」と検索する度に貴社のサービス・商品名が表示されるようにする)なども施策として用いられます。

3-5. 顕在顧客4(購入のステージ)

比較検討の結果、顧客が貴社のサービス・商品を購入しようと思うに至りました。しかし顧客によっては「この商品に決めたけど、今すぐじゃなくて良い」とか、「この商品が良さそうだけど、値段がもっと安いといいのになあ」という具合に、商品の比較検討までは完了したものの、購入に踏み切れない人たちが存在します。

そこでこの購入ステージでは「顧客の背中を押すような施策」が求められます。例えば購入者特典があるキャンペーンや、割引価格での販促展開などです。キャンペーン内容の掲出は、Webサイトはもちろん、一度サイトを訪れた人へのリマーケティング広告、過去にお問い合わせいただいた方へのメルマガ送信など、複数のチャネル(経路)を用いて展開します。

3-6. 既存顧客(再購入)

ここからは一度購入した顧客を対象にした仕組みづくりになります。一度でもWebでサービスや商品を購入してもらうと、その際に顧客情報(名前、メールアドレス、住所、性別、年齢、職業、購入した商品は何か等)を取得できます。そのため既存顧客への施策として多く用いられるのは、顧客向けメルマガで購入履歴からおすすめ商品情報を送信するものや、既存顧客限定のキャンペーン情報を送信するものです。また商材が定期購入するものであれば、毎回の商品梱包の際にキャンペーンのチラシとQRコードを同梱し、Webで再購入を促す方法などがあります。

3-7. 既存顧客(推奨・ファン化)

顧客が何度か貴社のサービス・商品を購入して「これは良いものだ」と認識してくれたとき、その顧客は自分の知人・友人・家族に貴社をオススメ(推奨)してくれます。全く知らないサービス・商品よりも、親しい人から勧められたサービス・商品の方が印象がよく、その後の展開を有利に進められることでしょう。

こうした場面で使われるWeb施策が「紹介キャンペーン」や、貴社のWebサイトをSNSで共有しやすくする工夫などになります。パレートの法則(8:2の法則)によると、「売上の8割は2割のお得意様によって作られる」と言われます。ファン化した既存顧客は、間違いなく貴社にとってのお得意様であり、今後も売上に貢献してくれる人たちです。そうした意味では、より長くファンでいていただくための施策(お得意様だけのキャンペーン等)も有効です。

4. プランニング

4-1. ペルソナを考える

顧客のタイミングごとの施策例は前述のとおりですが、具体的にどのような見せ方、訴求の仕方をしていくかは、実際に貴社のサービス・商品を購入してくれた顧客の特徴を深掘りして、どのような人に貴社のサービス・商品が響きやすいのかを客観的に見ていく必要があります。

そこで既存顧客の情報(購入時の属性やアンケート調査などで取得)を元に、顧客たちは「何をしたくて」「どんなサービスを求めているのか」「それをしないといけない理由があるか」「それをするのに何か条件やハードルがあるか」「誰が決定するか(その人は決定権を持っているか)」を整理してみます。これがそのままペルソナ作りにつながっていきます。ここでもペットショップの例を考えてみましょう。

地方在住の50代男性。会社員。子どもたちが巣立ち、自宅で妻と二人暮らしをしている。子どもがいなくなったことで感じる寂しさを紛らわせたいと思っており、ペットを飼うか、妻と二人でできるような新しい趣味を作りたいと思っている。そうすることによって、二人だけでいる時間に楽しさを見つけられるからだ。幸い地方の戸建てでペットを飼うことに問題はないが、これまで動物を飼った経験がなく不安があるので、ペットの購入に踏み切れないでいる。最終的には自分以外の妻とも相談して決める必要がある。

このようなペルソナが設定されたとき、顧客にアピールすべきは「ペットは家族の一員で、夫婦の生活が明るくなる」「ペットを飼うのが初めてのお客様でも安心してもらえるサポート体制をとっている」ということであって、「ペットは可愛い」という上辺の内容ではありません。こうしたことは、Webサイトを作る際、デザインやコンテンツの中に反映されていきます。

また、ペットという生き物に関することであり、まして決定権を自分ひとりで持っているわけではないため、Webサイトでは「いますぐ購入!」という方向には持っていけません。そこでWebサイト上での表現としては「来店予約」または「無料相談」などとし、「妻と行ってみよう」「まずは相談してみよう」と思ってもらえるようにすべきです。

このようにペルソナが設定できたら、各ステージごとのペルソナの心理状態と行動を考えながら、カスタマージャーニーマップ(顧客がゴールまでたどり着くまでの心理変容と行動変容を考慮した全体の俯瞰図)を明確にします。

4-2. カスタマージャーニーマップを作る

前述の図「まっすぐひらくマーケティングファネル」にあるように、潜在顧客が顕在顧客化して購入に至るまでには、いくつかの段階(ステージ)を経ることになります。カスタマージャーニーマップは、マーケティングファネルでみたような段階ごとに、ユーザー心理、行動、目標、目標達成のためのコンテンツ、計測方法等を細かく設定します。

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カスタマージャーニーマップで最も重要なのは、ユーザー心理を的確に想定できるかどうかです。ユーザーは、最終的にそのサービス・商品を「購入する」という行動に至るまでに、「調べる」「比較する」「問い合わせる」などの行動を段階的に取っていきます(行動変容)。こうしたユーザーの行動には、その時々の心理的要因が関係してくるため、ユーザーの行動変容を引き起こすには、行動変容の前段階としてのユーザー心理を想定しておく必要があります。

例えばBtoBビジネスのホームページを例にして考えてみましょう。ホームページを見て興味をもったユーザーがいますが、心理的に「稟議を通さないといけないので、上司に説明しやすいサービスだといいな」と感じています。こうした時、ホームページ上で色々説明を書くよりも、サービスの特徴やメリットが記載されているパワーポイントやPDF資料をダウンロードできた方が、稟議書に添付しやすいため好まれる傾向にあります。

このように、その時々のユーザー心理状態が想定できれば、そこに対する打ち手(必要なコンテンツ)も変わってきます。なお、このユーザー心理の状態が移り変わっていくこと(「このサービス・商品は何だろう」から「よし、買おう!」と思ってもらうまでの心理的な移り変わり)を心理変容と呼びます。

どのような心理変容を辿るかは商材によって異なりますが、それでも大きな流れがあるように思います。貴社のカスタマージャーニーマップ作成の際には、ぜひ当社プランナーにご相談ください。

4-3. 良いところはマネをする、競合分析

マーケティングでは「競合分析」という考え方があります。いろいろなやり方・手順があると思いますが、大きくはまず、①分析する市場を決め、②その市場の中で狙う客層を特定し、③競合相手と自社の状況(強み・弱み)を把握していく、という流れになります。

Webマーケティングでも考え方は変わりませんが、「③競合相手と自社の状況(強み・弱み)を把握していく」際に、競合相手のWebサイトを分析することで「相手が何をウリにしているのか」「どのような戦略を取ってきているのか」を確認し、「相手はXXしているので、うちのWebサイトではYYを強く打ち出そう」というような、競合相手を意識したWebサイト制作ができるようになります。

前出のマーケティングファネル図にもあったように、一般的なユーザーは貴社のサービス・商品を購入する前に、類似する他社のサービス・商品とどちらが良いか比較検討することがあります。この比較検討時に他社よりも高い評価を得られるよう、事前に計画しておくということです。

また、相手の良いところを積極的にマネしていくことも重要です。分かりやすい表現や見せ方、使いやすくする工夫など、競合するライバルだからこそ参考になる点があるはずです。ライバルの「マネをする」というと、少し消極的に感じる方もおられるかもしれませんが、ライバルと同じように自社も高い水準の情報を発信することで、「相手の優位性を1つでも多く打ち消す」という発想が必要です。

株式会社ヒニアラタでは、山陰の市場感を踏まえた競合分析を実施し、単なる模倣ではなく「自社が勝てる訴求軸」へ落とし込む支援を行っています。地域の商圏特性や顧客行動を踏まえて設計することで、Web施策の再現性が高まります。

今回のまとめ

いかがだったでしょうか? 今回は最初の1回目としてWebマーケティングに関する入口のお話をさせていただきました。次回はネット広告の話など少し具体的な内容でお送りしたいと思います。お楽しみに!

ヒニアラタ編集部 監修: 馬庭 吾以千

ヒニアラタ編集部では地方の中小企業様のWeb活用をお手伝いするため、私たちが持っている専門知識を「コラム」という形で分かりやすく公開しています。 私たち自身が地方の企業であるからこそ分かること、感じることがあると思っています。

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