前回から引き続き、ChatGPT広告を実際に出してみた経験から、その知見をコラムにまとめました。
4.ChatGPT広告で成果を得やすい広告設計
ChatGPT広告で成果を得るためには、検索広告の広告文をそのまま流用するのではなく、ユーザーがAIの回答を読んだ後に何を求めるのかを考える必要があります。
重要なのは、単に情報を追加することではありません。
AIの回答を読んだユーザーが、「自社の場合はどうなのか」「次に何をすればよいのか」と考えたときに、その続きを引き受けることです。
株式会社ヒニアラタで実際に配信した広告でも、一般的な情報を提供する広告と、個別の課題整理を提案する広告では、クリック率に違いが見られました。
「情報を教える広告」と「次へ進める広告」
今回配信した広告の一つが、次の内容です。
HPをリニューアルすべき特徴30選!
「ホームページをリニューアルすべき特徴30選」の資料のダウンロードはこちらから!
この広告のCTRは0.98%でした。
ホームページのリニューアルを検討している人にとって、判断基準をまとめた資料は有用です。
しかし、ChatGPTの利用者は、同じ画面で、
ホームページをリニューアルすべき特徴を教えてください。
と質問できます。
そのため、一般的な特徴やチェック項目を知ることが目的であれば、AIの回答だけで満足する可能性があります。
広告をクリックし、別のページへ移動して資料をダウンロードするには、AI回答では得られない追加の価値が必要です。
一方、比較的クリックされたのが、次の広告でした。
無料で課題整理をお手伝い!
島根県の企業ホームページを作るなら、まずは無料の課題整理から!
この広告のCTRは2.0%でした。
こちらは、ホームページリニューアルの一般的な情報を伝えるのではなく、ユーザーの会社が抱えている課題を個別に整理する提案です。
「何を改善すべきか」「企業サイトと採用サイトのどちらを優先するか」「制作会社へ何を伝えるか」といった問題は、一般的な情報を読むだけでは解決しにくいものです。
この二つの結果から、ChatGPT広告では、
知識を追加で提供する広告
よりも、
ユーザー自身の判断や行動を支援する広告
の方が、クリックする理由を生みやすい可能性があると考えられます。
AIにはできない価値を広告で提示する
ChatGPTは、一般的な考え方や手順、比較のポイントを整理することが得意です。
一方で、ユーザーの会社やWebサイトを実際に確認し、個別の状況に合わせて判断することには限界があります。
そこで広告では、次のような価値を提示します。
- 現在のWebサイトを実際に確認する
- 問題点を個別に診断する
- リニューアルの目的を整理する
- 企業サイトと採用サイトの優先順位を決める
- 見積書の内容を確認する
- 地域や業種に合った事例を提示する
- 具体的な費用やスケジュールを提案する
- 担当者が直接相談に対応する
例えば、次のような広告です。
島根県内企業のWebサイトを無料診断
問い合わせや採用応募が増えない原因を個別に整理します
この広告は、ホームページ制作の一般論を説明するものではありません。
ユーザーのWebサイトを確認し、個別の問題を整理するという、AIの回答だけでは完結しにくい価値を示しています。
「サービス紹介」より「次の行動」を提示する
企業側は、広告で自社のサービス内容を詳しく伝えたくなります。
しかしChatGPT広告では、サービスを説明するだけでは、クリックの理由が弱くなりがちです。
例えば、次の広告文です。
ホームページ制作からWeb広告運用まで対応
企画・デザイン・保守をワンストップで支援します
この広告から、会社の対応範囲は分かります。
しかし、AIの回答を読んだ直後のユーザーにとって、「今この広告をクリックすると何が進むのか」は分かりません。
一方、
ホームページを作る前に無料で課題整理
目的、必要なページ、優先順位を一緒に整理します
と伝えれば、クリック後に何が行われるのかを想像できます。
ChatGPT広告では、「何ができます」というサービス紹介よりも、「クリックすると何が進みます」という行動の提示が重要です。
対象者と悩みを具体的にする
広告の対象を広く設定しすぎると、誰に向けた広告なのかが分かりにくくなります。
例えば、
Web集客でお困りの方へ
という表現では、対象が広すぎます。
Web集客の悩みには、問い合わせ不足、採用応募不足、アクセス不足、広告費の高騰、サイト更新の停滞など、さまざまな問題があります。
そこで、対象者と悩みを具体化します。
島根県内で採用応募が集まらない企業へ
採用サイトの課題を無料で整理します
または、
ホームページをリニューアルすべきか迷っている方へ
現状の問題点と改善の優先順位を整理します
対象者と悩みが明確になることで、ユーザーは「これは自分に関係のある広告だ」と判断しやすくなります。
地域名は具体的な支援内容と組み合わせる
今回、CTRが2.0%だった広告では、「島根県」という地域名と「無料の課題整理」という具体的な支援内容を組み合わせています。
単に、
島根県のホームページ制作会社です
と伝えるだけでは、所在地や対応地域しか分かりません。
しかし、
島根県の企業ホームページを作るなら、まずは無料の課題整理から
と伝えることで、島根県内の企業がリニューアルを検討する際の、最初の相談先としての役割が明確になります。
地域名は、それだけで広告の価値になるわけではありません。
- 地域企業の事情を踏まえて相談できる
- 必要に応じて対面で打ち合わせできる
- 現地で取材や撮影ができる
- 採用や営業の地域事情を理解している
- 県内企業の実績をもとに提案できる
といった具体的な支援内容と組み合わせる必要があります。
クリック後に得られるものを明確にする
ChatGPT広告では、広告の先に何があるのかを具体的に示すことが重要です。
「詳しくはこちら」「まずはご相談ください」といった表現だけでは、ユーザーがクリック後の価値を想像できません。
例えば、次のように示します。
- 30分の無料相談が受けられる
- 現在の課題を3項目に整理してもらえる
- 必要なページや機能を整理できる
- 企業サイトと採用サイトの優先順位を相談できる
- 概算費用を確認できる
- 同業種の事例を見られる
- 制作会社へ伝える要件をまとめられる
成果物や相談内容が具体的であるほど、クリックする理由が生まれます。
株式会社ヒニアラタの場合も、単に「無料相談」と表現するより、
ホームページ制作の目的、必要な内容、優先順位を整理します
と伝えた方が、ユーザーにとって得られる価値が明確です。
広告文と遷移先の内容を一致させる
広告文が良くても、クリック後のページに同じ内容がなければ、ユーザーは離脱します。
例えば、広告で「無料の課題整理」を訴求しているのに、遷移先が会社のトップページでは、ユーザーはどこから申し込めばよいのか分かりません。
専用ページでは、少なくとも次の内容を明確にします。
- 誰を対象にしているか
- どのような課題を整理するのか
- 課題整理によって何が分かるのか
- 相談に費用はかかるのか
- 所要時間
- 申し込み後の流れ
- 対応地域
- 実績や事例
- 申し込み方法
広告文とランディングページの内容が一致していれば、ユーザーは迷わず次の行動へ進めます。
資料ダウンロードにも「AIにはない価値」が必要になる
今回、資料ダウンロードを訴求した広告のCTRは0.98%でした。
このことから、ChatGPT広告では資料ダウンロードが向いていない、と断定することはできません。
ただし、資料の内容には工夫が必要です。
一般的な知識をまとめただけの資料では、ChatGPTの回答との差が分かりにくくなります。
例えば、次のような資料であれば、よりクリックする理由を作りやすくなります。
- 島根県内企業のホームページ制作費用事例
- 制作会社から出された見積書の確認表
- 採用サイトに必要な原稿の記入シート
- 社内要望を整理するためのヒアリングシート
- リニューアル計画を経営会議で説明するための資料
- 自社サイトを採点できるチェックシート
単に「特徴30選」と情報量を増やすのではなく、ユーザーがそのまま判断や社内検討に使える形にすることが重要です。
広告文は複数の切り口で検証する
今回の結果は、ChatGPT広告の一つの傾向を示すものですが、広告文や訴求の最適解は、サービスや対象者によって異なります。
同じホームページリニューアルでも、次のような切り口が考えられます。
課題整理型
ホームページを作る前に無料で課題整理
診断型
現在のWebサイトを無料診断
比較型
ホームページ制作の見積書を無料チェック
採用型
採用サイトを作るべきか無料で相談
地域型
島根県内で直接相談できるWeb制作会社
広告ごとに、クリック率だけでなく、その後の問い合わせ率や商談化率まで比較します。
クリックされやすい広告が、必ずしも受注につながりやすいとは限りません。
株式会社ヒニアラタでは、今回の結果を一つの仮説として、広告文、遷移先、相談内容を継続的に改善していく必要があると考えています。
成果を得やすい広告は「回答の続き」になっている
今回の配信結果から見えてきたのは、ChatGPT広告では、「何を教えるか」よりも「ユーザーを次にどこまで進めるか」が重要だということです。
AIが「ホームページをリニューアルすべき特徴」を説明した後、ユーザーには次の疑問が残ります。
自社は本当にリニューアルすべきなのか。
どの部分から直すべきなのか。
企業サイトと採用サイトのどちらを優先すべきなのか。
予算をどの程度用意すべきなのか。
そこで、
無料で課題を整理し、ホームページ制作の方向性を一緒に考えます
という広告を提示します。
このように、AIの回答を否定したり、同じ情報を繰り返したりするのではなく、その続きを提供することが、ChatGPT広告設計の基本です。
次章では、この考え方を島根県など特定地域で展開するサービスに当てはめ、地域ビジネスで効果を得る方法を考えます。
5.島根など地域限定サービスで効果を得る方法
島根県や出雲市、松江市など、特定の地域でサービスを展開する企業にとって、ChatGPT広告は新しい顧客接点になる可能性があります。
一方で、広告文に地域名を入れるだけでは、十分な効果は期待できません。
重要なのは、「島根県の人に広告を見せる」という発想ではなく、「島根県で具体的な課題を抱えている人に、地域ならではの解決策を提示する」という考え方です。
株式会社ヒニアラタでは、地域向けの広告を設計する際、地域名、悩み、提供価値の三つを組み合わせることが重要だと考えています。
地域名だけでは広告の強みにならない
例えば、次のような広告です。
島根県のホームページ制作会社
Webサイトの制作・運用に対応します
この広告から、対応地域とサービス内容は分かります。
しかし、島根県内の企業が、あえてこの広告をクリックする理由までは伝わりません。
「島根県」という言葉を入れただけでは、全国対応の制作会社との違いが明確にならないためです。
地域向け広告では、地域名を単なる所在地として使うのではなく、その地域で事業を行う企業にとって、どのような利点があるのかを伝える必要があります。
例えば、次のような内容です。
- 対面で相談できる
- 現地へ訪問できる
- 写真撮影や取材に対応できる
- 島根県内の企業事例を持っている
- 地域の採用環境や商習慣を理解している
- 公共団体や地域企業との仕事に慣れている
- 公開後も継続して相談できる
地域名は、それ自体が価値なのではありません。
地域に近いからこそ、何ができるのかまで説明して、初めて広告の強みになります。
「島根の人」ではなく「島根で困っている人」を捉える
地域限定サービスの広告では、対象を「島根県内の企業」と広く捉えすぎると、訴求が曖昧になります。
同じ島根県内の企業でも、抱えている課題は異なります。
例えば、Web制作やWebマーケティングに関しても、次のような悩みがあります。
- ホームページから問い合わせが来ない
- 採用ページを作っても応募が集まらない
- 古いWebサイトを更新できない
- 制作会社から出された見積もりが妥当か分からない
- Web広告を始めたいが、何から手を付ければよいか分からない
- 地元で継続的に相談できる会社が見つからない
広告では、「島根県内企業向け」と伝えるだけでなく、こうした具体的な課題まで含める必要があります。
例えば、次のような広告です。
島根県内で採用応募が集まらない企業へ
採用サイトの課題を無料で診断します
または、
ホームページを作ったのに問い合わせが増えない方へ
島根県内企業のWebサイトを個別に確認します
このように、地域と悩みを組み合わせることで、ユーザーは広告を自分の問題として捉えやすくなります。
地域特有の事情を広告に反映する
地域ビジネスでは、全国共通の悩みだけでなく、その地域特有の事情があります。
島根県の場合、業種や企業によっては、次のような課題が考えられます。
- 採用対象となる若い人材が限られている
- 県外の人にも会社の魅力を伝える必要がある
- Web担当者を専任で置けない
- 広告やWeb制作に大きな予算をかけにくい
- 経営者自身がWeb施策を判断している
- 営業エリアが県内や山陰地方に限られている
- 地域内での信用や紹介が重視される
こうした事情を理解したうえで広告を設計すると、全国向けの一般的な広告との差が生まれます。
例えば、
島根県内企業の採用サイト改善を支援
県外の求職者にも仕事内容と暮らしが伝わる構成をご提案します
という広告であれば、単に採用サイトを制作するだけでなく、島根県内企業が抱えやすい採用課題まで踏まえていることが伝わります。
地域密着型の広告では、「地域にあります」ではなく、「地域の事情を理解しています」と伝えることが大切です。
地域密着の価値は安心感だけではない
地域企業が地元の事業者へ依頼する理由として、「安心感」が挙げられることがあります。
もちろん、近くに相談できる会社があることは大きな利点です。
ただし、広告で「地域密着だから安心」と伝えるだけでは、具体性に欠けます。
地域密着の価値は、次のように分解できます。
- 必要に応じて訪問できる
- 担当者と直接話せる
- 現場や商品を実際に確認できる
- 地域内の顧客や求職者の感覚を理解している
- 長期的な保守や改善を相談しやすい
- 地元企業の成功事例を参考にできる
これらは、Web制作や広告運用の成果にも関係します。
例えば、会社や工場の雰囲気、働く人の様子、地域との関わりなどは、現地で取材することで初めて伝えられる場合があります。
特に採用サイトや企業紹介サイトでは、地域に近い制作会社であることが、コンテンツの質につながる可能性があります。
市町村名は必要に応じて使い分ける
島根県全体を対象にするサービスでも、広告文やランディングページでは、出雲市、松江市、大田市、雲南市などの市町村名を使い分ける方法があります。
例えば、ユーザーが「出雲市で相談できる制作会社」を探している場合、島根県という広い表現よりも、出雲市という具体的な地域名の方が、自分に近いサービスだと感じやすくなります。
ただし、市町村ごとに同じ文章を並べるだけでは、効果は限定的です。
それぞれの地域で、
- どのような業種が多いか
- どのような相談が多いか
- 訪問や撮影に対応できるか
- 具体的な実績があるか
といった内容まで用意できると、ページの説得力が高まります。
広告文と遷移先のページも一致させます。
「出雲市の企業向け」と広告に書いているなら、遷移先でも出雲市での対応内容や実績が分かるようにする必要があります。
地域・業種・課題を組み合わせる
地域向けChatGPT広告では、地域名だけでなく、業種や課題を組み合わせることで、より具体的な広告になります。
例えば、次のような組み合わせです。
地域×課題
島根県内で問い合わせが増えない企業へ
Webサイトの改善点を無料診断
地域×業種
島根県内の製造業向け採用サイト制作
仕事内容と技術力が伝わる構成をご提案します
地域×業種×課題
出雲市の建設会社で採用にお困りの方へ
若い求職者に選ばれる採用ページを診断します
対象を絞ると、広告が表示される機会は少なくなる可能性があります。
しかし、自社と関係の薄いユーザーからのクリックを減らし、問い合わせの質を高められる可能性があります。
地域ビジネスでは、アクセス数を最大化することよりも、実際に対応できる顧客との接点を増やすことが重要です。
地域向け専用ページを用意する
広告の遷移先として、会社のトップページだけを設定するのは、できるだけ避けた方がよいでしょう。
トップページには、会社概要、事業内容、採用情報など、さまざまな情報があります。
そのため、広告をクリックしたユーザーが、自分に必要な情報を探さなければなりません。
例えば「島根県内企業のWebサイト無料診断」という広告であれば、専用ページには次の内容を掲載します。
- 島根県内企業を対象としていること
- どのようなWebサイトを診断するのか
- 診断で分かること
- 診断結果をどのように伝えるのか
- 費用の有無
- 所要時間
- 申し込み後の流れ
- 島根県内での支援実績
- 無理な営業を行わないこと
- 申し込みフォーム
広告とページの内容が一致することで、クリック後の離脱を減らせます。
地域外からのアクセスも前提に考える
島根県向けの広告であっても、広告を見る人が必ず島根県内にいるとは限りません。
例えば、次のようなケースがあります。
- 島根県内への進出を検討している企業
- 島根県の会社を支援している県外の担当者
- 本社は県外だが、島根県内に拠点がある企業
- 島根県への移住や転職を検討している人
- 県外から地元企業のWeb施策を管理している人
そのため、現在地だけで対象を判断するのではなく、「島根県に関係する課題を持っているか」という視点も必要です。
地域限定サービスであっても、広告文では対応範囲を分かりやすく伝え、誰が相談できるのかを明確にしておくことが大切です。
地域広告ではクリック数より問い合わせの適合度を見る
島根県のように対象となる企業数が限られる地域では、全国向け広告のように大量のクリックを得ることは難しい場合があります。
しかし、地域ビジネスでは、クリック数の多さだけが成果ではありません。
例えば、100件のクリックから対象外の問い合わせが1件入るよりも、20件のクリックから島根県内の見込み顧客による相談が2件入る方が、広告としては価値があります。
地域向けChatGPT広告では、次の数字を確認します。
- 対象地域からのアクセス割合
- 対象業種からの問い合わせ数
- 相談内容と自社サービスの一致度
- 商談につながった割合
- 訪問や提案につながった件数
- 最終的な受注額
地域を絞った広告では、量よりも適合度を重視する必要があります。
地域性を具体的な提供価値に変える
地域限定サービスでChatGPT広告の効果を高めるためには、地域名を表示するだけでは不十分です。
大切なのは、
島根県にある会社だから、何を理解し、何を提供できるのか
を具体的にすることです。
株式会社ヒニアラタであれば、単に島根県のWeb制作会社であることだけでなく、地域企業の人材、営業、予算、Web運用の課題を理解したうえで、企画から制作、広告運用、公開後の改善まで支援できることが価値になります。
ChatGPT広告では、そのすべてを一つの広告に詰め込む必要はありません。
ユーザーの悩みに合わせて、
- 採用
- 集客
- サイト改善
- 見積もり比較
- 広告運用
- 地域での相談
など、入口を分けることが重要です。
地域名、具体的な悩み、地元企業だから提供できる行動価値を組み合わせることで、ChatGPT広告は地域ビジネスにとって有効な接点になり得ます。
次章では、これまでの内容をまとめ、ChatGPT広告をどのような広告として捉えるべきかを整理します。
6.まとめ:ChatGPT広告は「回答の続き」を提案する広告
株式会社ヒニアラタでは、企業サイトや採用サイトなど、ホームページのリニューアルを検討している方に向けて、ChatGPT広告を実際に出稿しました。
広告全体のクリック率は、おおむね1〜3%程度でした。
検索広告と比較すると、決して高い数字ではありません。しかし、広告ごとの結果を見ていくと、単に「ChatGPT広告はクリックされにくい」と結論づけるだけでは見えてこない、重要な違いがありました。
今回、比較的表示回数が少ない中でもクリックされたのが、次の広告です。
無料で課題整理をお手伝い!
島根県の企業ホームページを作るなら、まずは無料の課題整理から!
この広告のCTRは2.0%でした。
一方、相対的にクリックされにくかったのが、次の広告です。
HPをリニューアルすべき特徴30選!
「ホームページをリニューアルすべき特徴30選」の資料のダウンロードはこちらから!
こちらのCTRは0.98%でした。
もちろん、表示回数や表示された会話の内容、ユーザーの検討段階などが異なるため、この結果だけで広告表現の優劣を断定することはできません。
ただし、二つの広告の違いから、ChatGPT広告を考えるうえで一つの仮説が見えてきます。
それは、ChatGPT広告では、
一般的な情報を追加で提供する広告
よりも、
ユーザー自身の課題を整理し、次の行動へ進める広告
の方が、クリックする理由を作りやすい可能性があるということです。
AIが答えられる情報だけではクリックされにくい
「ホームページをリニューアルすべき特徴30選」は、リニューアルの判断材料として有用な情報です。
検索広告やSNS広告であれば、まとまった資料を読みたい人にとって、十分に魅力的な訴求になり得ます。
しかしChatGPTでは、ユーザーがその場で、
ホームページをリニューアルすべき特徴を教えてください。
と質問できます。
すると、デザインが古い、スマートフォンで見にくい、更新しづらい、問い合わせが少ない、採用情報が不足しているなど、一般的な判断基準をAIが整理して回答します。
つまり、広告の先にある情報の一部を、ユーザーはすでにChatGPT上で得ている可能性があります。
その状態で外部サイトへ移動し、資料をダウンロードするためには、AI回答では得られない追加の価値が必要です。
資料の情報量を増やすだけではなく、
- 自社の状況を書き込める
- 社内会議でそのまま使える
- 見積書を比較できる
- 制作会社へ伝える要件を整理できる
- 島根県内企業の具体的な事例や費用が分かる
といった、実務で使える内容に変える必要があります。
ChatGPT広告では、「何を知ることができるか」だけでなく、「その情報を使って何が進むのか」が重要になります。
「無料の課題整理」はAI回答の先を提案している
一方、「無料で課題整理をお手伝い」という広告は、一般的な情報を提供するものではありません。
ホームページのリニューアルを検討している企業が抱える、
- 本当に今リニューアルすべきか
- どの部分を優先して改善すべきか
- 企業サイトと採用サイトのどちらから着手すべきか
- 社内の意見をどうまとめるか
- 制作会社へ何を伝えればよいか
- どの程度の予算が必要か
といった個別の問題を整理する提案です。
ChatGPTに一般的な考え方を聞くことはできます。
しかし、その考え方を自社の事業、現在のホームページ、採用や営業上の課題、社内体制に当てはめるには、個別の判断が必要です。
「無料の課題整理」という広告は、AIの回答を読んだ後にユーザーが抱く、
一般的なことは分かった。では、自社の場合はどうすればよいのか。
という疑問に対して、次の行動を提示しています。
この違いが、今回のCTRの差に表れた可能性があります。
ChatGPT広告は検索広告の置き換えではない
ChatGPT広告と検索広告では、広告を見る時点のユーザーの状態が異なります。
検索広告では、ユーザーは商品、サービス、制作会社、料金などを探しています。
例えば、
- 島根県 ホームページ制作
- 出雲市 Web制作会社
- 採用サイト 制作 費用
- ホームページ リニューアル 相談
と検索する人は、すでに外部の会社へ依頼することを検討している可能性があります。
検索結果をクリックしなければ、各社のサービスや実績、料金を詳しく知ることができません。
一方、ChatGPTでは、ユーザーはまずAIへ相談します。
- ホームページをリニューアルすべきか
- 制作会社をどう選ぶべきか
- 採用サイトには何を載せるべきか
- 問い合わせが増えない理由は何か
といった疑問に対して、AIから一定の回答を得た後に広告を目にします。
そのため、ChatGPT広告は、検索広告のように「答えのあるページへ誘導する広告」ではありません。
検索広告が「探している人に見つけてもらう広告」であるなら、ChatGPT広告は「相談している人に次の一歩を示す広告」です。
両者は競合するものではなく、異なる段階のユーザーを捉える広告だと考えるべきです。
AIと同じ情報を提供するのではなく、その先を引き受ける
ChatGPT広告で成果を得るためには、AIより詳しく説明しようとするだけでは不十分です。
一般的な知識や方法を説明するだけであれば、ユーザーはChatGPTとの会話を続けることで、さらに情報を得られます。
広告主が提供すべきなのは、AI回答と同じ情報ではなく、AI回答だけでは完結しにくい価値です。
例えば、次のような内容です。
- 現在のWebサイトを実際に確認する
- 問題点を個別に診断する
- 課題と要望を整理する
- 改善の優先順位を決める
- 見積書の内容を確認する
- 費用やスケジュールを具体化する
- 担当者が直接相談に対応する
- 実際の制作や改善を行う
ChatGPTが一般的な考え方を整理し、企業が個別の判断と実行を引き受ける。
この役割分担を意識することが、ChatGPT広告では重要です。
島根という地域名も、行動価値と組み合わせる
今回CTRが2.0%だった広告では、「島根県」という地域名と「無料の課題整理」という具体的な支援内容を組み合わせていました。
地域ビジネスの広告では、地域名を入れること自体は重要です。
しかし、
島根県のホームページ制作会社です
と伝えるだけでは、所在地や対応地域しか分かりません。
ユーザーが知りたいのは、島根県の会社であることによって、何をしてもらえるのかです。
例えば、
- 島根県内企業の事情を踏まえて相談できる
- 必要に応じて対面で打ち合わせできる
- 現地で取材や撮影ができる
- 地域の採用環境や商習慣を理解している
- 県内企業の事例をもとに提案できる
- 公開後も継続的に相談できる
といった具体的な価値です。
地域名は、それだけで差別化になるわけではありません。
地域、課題、支援内容を組み合わせることで、初めてクリックする理由になります。
例えば、
島根県内で採用応募が集まらない企業へ
採用サイトの課題を無料で整理します
ホームページをリニューアルすべきか迷っている方へ
島根県内の企業サイトを個別に確認します
といった訴求です。
「島根の人」に広く広告を見せるのではなく、「島根で具体的に困っている人」に、次の行動を提示することが重要です。
クリック率だけでなく、その後の成果を見る
ChatGPT広告を評価する際、クリック率は分かりやすい指標です。
今回も、CTR2.0%と0.98%の広告を比較することで、訴求内容による違いを考えることができました。
ただし、CTRが高い広告が、必ずしも最も良い広告とは限りません。
本当に確認すべきなのは、その後の成果です。
- どの広告から問い合わせが入ったか
- 相談内容が自社サービスと合っていたか
- 島根県内の対象企業からの相談だったか
- 商談につながったか
- 提案や見積もりにつながったか
- 最終的に受注や売上につながったか
- 1件の顧客獲得にいくらかかったか
地域限定サービスでは、特にクリック数より問い合わせの適合度が重要です。
100件クリックされても、対象地域外や依頼につながらないアクセスばかりでは、成果が出たとはいえません。
一方、クリック数が少なくても、島根県内でホームページのリニューアルを具体的に検討している企業から相談が入れば、広告として価値があります。
CTRは広告改善のための指標であり、最終的な目的ではありません。
広告だけでなく、クリック後の受け皿も変える
広告で「無料の課題整理」を訴求するのであれば、クリック後のページでも、その内容を明確にする必要があります。
会社のトップページへ誘導するだけでは、ユーザーは自分で相談メニューや申し込み方法を探さなければなりません。
専用ページでは、次の内容を示します。
- どのような企業を対象にしているか
- どのような課題を整理するのか
- 相談によって何が分かるのか
- 相談に費用はかかるのか
- 所要時間
- 申し込み後の流れ
- オンラインと対面のどちらに対応するか
- 対応地域
- 実績や事例
- 申し込み方法
例えば、「無料の課題整理」と広告に書いているなら、
現在のホームページを確認し、目的、必要なページ、優先順位を30分程度で整理します。
といった具体的な説明が必要です。
広告文、ランディングページ、申し込み後の対応までを一つの流れとして設計することで、クリックを相談や商談へつなげやすくなります。
今回の結果は、答えではなく改善の出発点
今回の広告結果から、「資料ダウンロードは効果がない」「課題整理なら必ず成果が出る」と断定することはできません。
表示回数や配信された会話の文脈、広告の画像、遷移先ページなど、ほかの要因も影響します。
また、「ホームページをリニューアルすべき特徴30選」という資料も、内容や見せ方を変えることで反応が改善する可能性があります。
例えば、
- 島根県内企業向けの判断基準にする
- 自社で採点できるチェックシート形式にする
- 企業サイト用と採用サイト用に分ける
- 見積もり依頼前の要件整理表を付ける
- 診断結果に応じた改善方法を示す
といった改善が考えられます。
今回のCTRの違いは、最終的な結論ではなく、次の広告改善につながる仮説です。
広告文、対象者、会話の文脈、遷移先ページ、問い合わせ内容を継続的に確認しながら、どのような訴求が商談や受注につながるのかを検証する必要があります。
ChatGPT広告は「回答から行動へ橋を架ける広告」
今回の出稿を通じて、株式会社ヒニアラタでは、ChatGPT広告を次のように捉えています。
ChatGPT広告は、AIの回答と競争する広告ではなく、回答から現実の行動へ橋を架ける広告である。
AIが「ホームページをリニューアルすべき特徴」を説明した後、ユーザーには次の疑問が残ります。
自社は本当にリニューアルすべきなのか。
どの部分から直すべきなのか。
企業サイトと採用サイトのどちらを優先すべきなのか。
制作会社へ何を伝えればよいのか。
どの程度の予算を用意すべきなのか。
その疑問に対して、
無料で課題を整理し、ホームページ制作の方向性を一緒に考えます。
と提案する。
これが、ChatGPT広告に求められる役割です。
単に「詳しい情報はこちら」と誘導するのではなく、
一般的なことは分かった。その先をどう進めるか。
というユーザーの悩みを引き受ける必要があります。
検索広告と同じクリック率だけを目指すのではなく、ChatGPT上でユーザーがどこまで答えを得ているのかを考え、その後に残る課題を広告で提示する。
そして、地域、悩み、個別対応を組み合わせ、広告から相談、商談、受注までを一つの流れとして設計する。
それが、ChatGPT広告を地域ビジネスで活用するための基本になると、株式会社ヒニアラタでは考えています。