ネット広告の将来はどうなる?今後普及していくネット広告の種類と未来の展望について解説!
今やネット広告は、広告業界の代表格であったテレビCMの市場を超えるほどの巨大な市場になっていますね。
しかし、そんなネット広告でも今将来を考えなければいけない時期まで到達しています。
本記事ではネット広告の将来について、過去を踏まえて紹介していきますのでネット広告の将来を見つめ直してみましょう。
目次
今までのネット広告の成長度は?
まず始めに、ネット広告がどのような成長をしてきているのかを確認していきましょう。
ネット広告の成長を見ていく上で最、も感覚的にわかりやすい方法として、この市場でどれだけのお金が動いているのかです。
そこでネット広告で使用された広告費をチェックしてみました。
広告費は約1兆円から4年で倍以上増加している
ネット広告の広告費は2015年では約1兆円規模の市場でした。
しかし、その4年後には倍の2兆円規模の市場まで成長しています。
画像出典:株式会社電通「2019年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
このような広告費には、広告を出稿するための費用だけではなく、広告を制作するための費用も入っています。
最近では動画広告の種類も増えているので、その分技術的な製作スキルが必要になり、製作コストも相乗的に上昇しています。
広告の手法も年々増加している
最近では動画広告も増えているということをお話ししましたが、それ以外にも広告の種類が増加しています。
以前はメディアの両側や記事の最後などにバナー広告が掲載されることが多く、どのメディアでも同様の手法がとられていました。
しかし、現在ではそのバナー広告で動画が再生されたりと、ユーザーが見たときに興味を示し、クリックさせやすい広告手法が増加しました。
さらに手法だけではなく、技術の進歩によって最近ではARやVRを広告として使用する企業も出てきています。
そのため、ネット広告でAR、VRが日常的に使用されるまでそう時間はかからないでしょう。
ネット広告は従来の広告業界を担うまで成長している
先ほどもお話ししたようにネット広告は今や2兆円といった巨大な市場になっています。
今まで広告というとテレビCM、野外広告といった方法で認知や宣伝するのが一般的でした。
では、このテレビCMなどはどれほどの市場規模なのか調査してみると、
テレビCMは2015年では1兆9,000億円ほどの市場規模でした。現在も1%~2%ずつ下がっている傾向にはありますが、1兆8,500億円規模の市場規模、野外広告は約3,000億円と市場規模としては広告市場の中では低い方ですが、電子掲示板の普及といった要因もあり市場規模自体は下がっていません。
この中でもテレビCMはコストが高い反面、かなりの認知に繋がるので大企業が利用することが多く、市場規模はかなり大きいです。
しかし、ネット広告の普及によって、ネット広告がテレビCMの市場規模を超えて広告業界をけん引するまでに成長しています。
おすすめ関連記事:日本と世界で年々拡大するネット広告の市場規模!今後を含めデータから予測する!
ネット広告は将来どのような成長を遂げるのか
それでは今回の本題であるネット広告の将来について考えていきます。
新しいジャンルの広告の出現
最初に新しいジャンルの広告が出現します。
その中でも既に新しいジャンルとして出現しているのがAR、VRです。
最初に少しお話ししましたが、一部企業では既にネット広告としてAR広告は使用されています。その例を数個紹介していきます。
AR広告の使用例① ファッション業界
ファッション通販サイトでは、今まで購入するまで試着ができず、実際に購入して着てみるとイメージが大きく違っていると一部では問題になっていました。
それが原因でネット通販で服や靴を購入しない人も多く、かなりの機会損失でした。
しかし、ARを使用することで、その服をスマートフォンのカメラを使用して実際のイメージを持つことができるため、購入しやすい状況を作り上げることができています。
一般のお店でも大きなディスプレイとカメラを利用することで服を試着することなくイメージを掴むことができるようになりました。
これはコロナウイルスの影響下でも売り上げを向上させる施策として利用されています。
AR広告の使用例② 美容業界
美容業界でもARは主流になりつつあります。
ファッションと比べて体全体ではなく、ネイルであれば爪、また、口紅などの化粧品であれば顔のみをカメラに捉えるだけで手軽にどのようなイメージか試すことができるため、いつでもどこでも装着イメージを膨らませることができます。
化粧品というと試着以上に時間がかかるというイメージもあり、忌避する方も多かったのですが、ARの普及で手軽にイメージを掴むことができ顧客満足度の向上ができています。
VR広告の使用例 アクティビティ
遠距離でなかなか行くことができない場所でもVRを使用することで疑似体験を行うことができ、体験欲求を深めたり、実際にどのようなイメージなのかをその場所に行くことなく把握することができます。
今までは特定顧客層しかいなかったダイビングなどのアクティビティもVRの発展で更に顧客を増やすことができるようになりました。
短時間でより強い印象を与えられるようになる
ARやVRがネット広告で着目されたのは、単純にユーザーが見るだけではなく「体験」することで強い印象を与えることができるからです。
体験する以外にも、ネットショッピングをするときには基本的に画像を見て判断するのではないでしょうか?
ですが、多くの人はそれだけでは情報として全く足りないので、動画サイトで同様の商品のレビュー動画を見たりして判断することが少なからずあるでしょう。
しかし、将来的には自宅に居ながらARで画面の中に実際の商品を出したり、VRで立体的に見ることで細かい所まで確認することができるようになる可能性があります。
AR、VRを重点的に新しいネット広告の種類として紹介してきましたが、ARとVRを組み合わせたMRなども既に開発されており、このような技術が一般化するとネット広告の市場規模はさらに増加する要因ともなりえます。
レッドオーシャンの中にまだまだ開拓できる市場が存在する!
次に開拓することができる市場が多いという点です。
レッドオーシャン(競合する企業が多い)では新規参入が非常に困難で、例えば飲食店が良い例です。
新規に飲食店を出しても継続的に利益を出すためには血がにじむ努力をしなければいけません。
しかしそれだけの努力を行っても3年間経営できるのがたった3割と非常に厳しい世界です。
ネット広告はレッドオーシャン(競合する企業が多い)と言われていますが、実は飲食店とは違い、新規参入をしても継続的に改善を行うことで安定したユーザーを流入させることが可能です。
さらにターゲティングといった仕様もあり、日本中のユーザーに自分の広告を届けることができ、潜在顧客にも認知させることができます。
今後、成長を続けても参入障壁は他の業界より低い水準なので参入者が増えていく可能性があります。
ネット広告業界に悪いことが起こりえる可能性も・・・
これだけ見るとネット広告の将来は明るく、今や運用型広告の成長で数百円からネット広告を始めることができ、誰でも参入しやすい環境が整えられています。
しかし、ネット広告の将来は良いことだけではなく、対照的に悪いことも起こりえます。
ネット広告の規制
まずはネット広告が規制される可能性があるという点です。
2020年6月には日本政府が運用型広告の「ターゲティング」という仕組みを規制する方針を出したり、広告で商品の価格を必ず表示させるようにする規制案を出しています。
政府のデジタル市場競争会議は16日、プラットフォーマー(PF)と呼ばれる巨大IT企業による寡占化が進むデジタル広告市場に対する規制案をまとめた。消費者の属性や嗜好(しこう)に関するデータに基づいて配信する「ターゲティング広告」について、広告の表示やそのためのデータ取得・利用に応じるか、消費者が実質的な決定権を持てるようPF側に対応を求める。
引用:毎日新聞
ネット広告ではGoogleやYouTubeで審査があり、その審査が通れば出稿できるという仕組みでした。
さらに、その審査も短期間で行うことができるので、運用型広告も手軽に出稿することができていました。
対照的に審査が厳しいのがテレビCMです。
テレビは既にBPOや法整備もなされており、その分審査が非常に厳しく、出稿する企業の資本金などの情報から広告のクオリティまで厳密に審査されます。
この審査に一ヶ月以上かかることも普通にあります。
ネット広告の規制案次第ではこのように厳密な審査になり、広告出稿まで時間がかかってしまうという状況が発生してしまうと、参入障壁が高くなってしまう可能性があります。
ユーザーの広告離れ
ここからはネット広告の根幹と言えるユーザーに着目してお話ししていきますが、ユーザーが広告から離れてしまうことが起こりえる、もしくは既にこれは起こっているといっても過言ではありません。
広告主や掲載主が広告効果を上げたいがために過剰に広告を表示したり、過剰な表現の広告になっていたりすることが多く、ユーザーが広告に対して「鬱陶しさ」「胡散臭さ」といった悪いイメージを持つようになります。
これが積み重なり、ユーザーはフラットな状態で広告を見るのではなく、マイナスの印象から広告を見るようになるので、広告の効果が下がってしまいます。
さらにユーザーが広告から離れてしまう要因が2つあります。
掲載メディアの有料化
SpotifyやYouTubeが今も行っていますが、月額課金形式で広告を非表示にすることができます。
ユーザーの広告離れによって生じる弊害は広告主だけではなく、掲載メディアも同様です。
むしろ掲載メディアの方が大きな損害になりかねません。
「あのサービスは広告が多いから別のサービスに移行しよう」となった場合には徐々に過疎が発生し、最悪の場合、サービス終了ということも起こりえます。
それを防ぐために用意され始めたのが有料サービスです。
全体の内容は有料サービスとほとんど変わりはありませんが、広告が表示されないというメリットがあります。
このサービス利用者はSpotifyでは世界で1億2,400万人、YouTubeでは2,000万人と意外にも多く、それほどユーザーが広告に対して悪印象を持っているようです。
このまま有料ユーザーが増加してしまうと、広告を出稿しても表示されるユーザーが減少してしまう可能性もあり、ユーザーだけではなく、広告主も離れてしまう危険性もあります。
広告を表示させないツールの開発
次に広告を表示させないツールが開発されている点です。
これは現時点でもスマートフォンアプリとしてリリースされていたりしますが、これがさらに高性能化されるとユーザーが無料で広告をブロックできます。
このツールが使用されてしまうと、広告主は表示数としてカウントされているがクリック率などの数値が落ちてしまったり、課金方式をインプレッション課金にしている場合は余計な広告費用を支払わなければならず、損をしてしまうことがあります。
さらにこのツールには恐ろしい点があり、これが一般的に普及されてしまうとネット広告業界の成長を著しく阻害してしまいます。
このツールを使われないようにするために広告業界でも様々な動きがありますが、いたちごっこになっているのが現状です。
ネット広告には将来性はある?
ネット広告の将来について良い面、悪い面をお話ししましたが、結局のところ将来的に成長を続けるのか、もしくは衰退し始めるのかという所が最も気になるはずです。
次にその将来性についてお話しします。
8割明るい未来、2割暗い未来が待っている
筆者はネット広告の将来について8割が明るい未来(発展する)、逆に2割が暗い未来(衰退する)が待っていると予測します。
その理由について見ていきましょう。
ネット広告離れ以上にテレビ離れ、新聞離れが急激に増加している
ネット広告がほぼ衰退しないと予測した要因として、テレビや新聞離れの方が多いという点です。
以前はネット以外ではテレビや新聞を見る方が多かったのですが、今では1日を通して一切テレビを見ない、そもそもテレビを持っていないという人も増加しています。
その原因としてスマートフォンやタブレットの普及で、自由な時間はネットサーフィンやSNSを利用することが急増しています。
ネットサーフィンやSNSを利用する方は自ずとネット広告に触れることになります。
このようなことも要因として、今後も様々なアプリやサービスが増加するということも予測すると、まだまだネット広告は成長する可能性があるでしょう。
規制案など不安定な面が多い
残りの2割が暗い未来になると予測する理由として、未だに不安定な部分が多いからです。
例えば、未だにネット広告の規制案が政府主導で考えられており、6月に案として出ているのは、ターゲティング広告の仕様やCookieについて、ほかにも広告の明確化などでしたが、しかし、今後メディアをはじめ、政府でもどのような動きをするのか未だに不透明な部分が多く、必ず明るい未来が待っていると断言できないことが理由です。
ネット広告の将来のためにどんな行動を取ればいいのか?
最後に、ネット広告業界の将来のためにどのような行動を起こさなければいけないのか、これは広告主に限ったことではなく、なぜなら、ユーザーからのフィードバックが無ければ広告が発展しないからです。
ではなぜ行動をとればネット広告がより良い発展をしていくのかお話していきます。
広告主側は健全に安定した品質の広告を出稿するように意識する
まず広告主は第一に健全でなければいけません。
ここで健全というと、例えば詐欺まがいの行動を起こさないということです。
この例ですが、あなたは「ネットビジネス」という言葉を聞いてどのようなことをイメージしますか?
ほとんどの方は「悪い」「詐欺」という悪いイメージが定着しています。
現にネットビジネスの大部分は健全な反面、詐欺が横行したことが要因でこのようなイメージが全体で払拭できずにいます。
だからこそ、悪いイメージがつかないように健全に運用していくようにしましょう。
そしてこの後にもお話ししますが、ユーザーのフィードバックをしっかりと受け止めることが重要です。
広告の本質はユーザーに響かせることが要因なのでここを改善することができればネット広告業界だけではなく、広告主自身もさらに成長することができるでしょう。
ユーザーは広告に対してフィードバックしよう!
スマートフォンやパソコンでネットサーフィンをしていると、どんなところでも必ずと言っていいほど広告は表示されます。
そこで全ての広告にフィードバックをするのではなく、不快に感じた広告は報告するようにしましょう。
途中でもお話ししたように政府主導でネット広告の表示について規制案が出ていますが、それがユーザーに対してメリットがあるのかという点では非常に怪しい点でもあります。
逆にサービス自体が使用しづらくなるということも考えられます。
ここで報告することで、ネット広告から不快な広告が徐々に減少していくでしょう。
ネット広告が不快だからとネット広告を表示しなくするツールを使うのではなく、しっかりとフィードバックすることで、ネット広告業界での相互コミュニケーションが実現し、健全なネット広告業界になっていきます。
広告掲載メディアはどうするべき?
最後に例外的に広告掲載メディアについてお話しします。
Googleアドセンスなどでほぼ全てのブログに広告を表示することができるようになっているため、広告掲載メディアも注意すべき点が一つあります。
それは「アドフラウド」です。
アドフラウド、ダメ、絶対!
広告を大量に表示させたり、ユーザーに表示させていないがシステム内部では表示されているようにして不当に広告報酬を得ることをアドフラウドと言います。
このアドフラウドでの被害額は日本だけでも半年間で16.7憶円とかなりの規模です。
これが世界となれば1兆円を軽く超えています。
日本ではアドフラウドに対する罰則が一切なく、アドフラウドがあったとしても報告し、アカウントを停止するといったことしかできません。
今後もアドフラウドに対する法整備が行われるかと言えばそれは現実的には考えにくいです。
しかし広告業界の発展を遮っているのがアドフラウドとも言われており、現在世界中でも様々な対策を講じられていますが、その根幹はネットリテラシーの問題が非常に大きいです。
だからこそ一人ひとりがしっかりと対策を講じることで減少していきます。
ネット広告は今の行動次第でどちらにでも動いてしまう
これまでネット広告の将来についてお話ししてきましたがいかがだったでしょうか?
実際にネット広告はこれからも成長すると言われていますが、その上がり幅は少しずつ減少しているのも事実です。
これからネット広告が発展していくためには広告主の独りよがりではなく、双方向でのコミュニケーションが必要になるでしょう。
それぞれで適切な行動を取り、ネット広告の将来を明るくしていきましょう。