日本と世界で年々拡大するネット広告の市場規模!今後を含めデータから予測する!
今現在も市場規模が拡大している広告業界と言えば、「ネット広告」ですね。
もはや、テレビ広告や紙媒体の広告は「オワコン」なんて声もありますが、そんなことはありません。
なぜなら、ネット広告、テレビ広告、紙媒体、それぞれにメリット、デメリットがありますからね。
とは言え、なぜこれほどまでに「ネット広告」に注目が集まっているのか?
この記事では日本と世界の市場規模の推移、そしてネット広告で利用されているジャンル別に分けてどのように拡大しているのかを紹介致しますので、ネット広告に参入しようか迷っている人は、ぜひ参考にして下さいね。
目次
【日本編】ネット広告の市場規模はどれくらい?
まずは日本国内のネット広告市場についてお話ししていきます。
2020年3月に株式会社電通が2019年の全体の広告費を発表。
その中でネット広告のシェアが日本で行われる広告事業の中で30.2%となる2兆1,048億円が使用されています。
しかしここでの広告費の定義は、
- インターネット広告制作費
- 物販系ECプラットフォーム広告費
- インターネット広告媒体費
この3つの合算になっていますが、今回ネット広告の市場規模でお話ししたいのはその中のインターネット広告媒体費についてです。
インターネット広告媒体費とは、例えば広告を出稿したときにインプレッション費用やクリック費用、オークション入札費用などのことを指し、広告費2兆1,048億円のうち、1兆6,630億円となっています。
インターネット広告制作費
「バナー広告等の制作費および企業ホームページの内、商品/サービス・キャンペーン関連の制作費」と定義される
引用:マイナビBOOKS
物販系ECプラットフォーム広告費
生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うECプラットフォーム上で、当該プラットフォームへ「出店」している事業者が当該プラットフォーム内に投下した広告費と定義
引用:通販通信
今までのネット広告市場の推移は?
先ほどお話しした市場規模は2019年のものです。
この市場規模を高いとみるのか、低いとみるのかを比較するために今までのネット広告の市場規模を見ていきます。
電通が2019年に公表した日本の広告費を見てみると、
2015年から比較し、約1.5倍近く成長していることが分かります。
市場は広がっているのは確かだが、競争率は高くなっている
ネット広告の市場規模は毎年10%近く上昇していますが、比較しているのは「インターネット広告媒体費」という点に注意しなければいけません。
広告費が上昇しているということは、
- 参入している企業が増加している
- 競争率が高くなり広告費自体が高騰している
ということが考えられます。
市場は広がっているがユーザーは広告に対して拒否反応を示している
ネット広告は広告主にとっては手軽に出稿できるのも要因で、市場規模は年々大きくなっています。
しかし、ユーザーにとっては逆に負担になりつつあるのはご存じでしょうか?
例えば、Youtubeでは広告の表示回数などの設定は投稿主にほとんど任されています。
YouTuberの収益のほとんどは広告報酬だからこそ、報酬欲しさに自分の動画の中に頻繁に広告を表示させるように設定し、少ない再生数でも広告報酬を得ることができます。
そういった外的要因が原因で、視聴者は「広告=めんどくさい、ウザい」という印象に変化し、フラットな状態で広告を見て欲しいのに最初からマイナス思考の状態で広告を見られます。
そういった点も考慮し、出稿しなければいけません。
今までのテレビのCM広告、新聞広告の市場規模は減少している
若者のテレビ離れ、新聞離れという言葉を最近よく聞くようになりましたが、若者だけでなくどの世代でも〇〇離れは起こっています。
その理由としてテレビのCM広告費、新聞広告費を見てみると、
媒体 | 2018年 | 2019年 | 増加率 |
テレビ広告費 | 1兆9123億円 | 1兆8612億円 | 97.2% |
新聞広告費 | 4784億円 | 4547億円 | 95.0% |
データ出典:電通「2019年 日本の広告費|新聞/雑誌/ラジオ/テレビ/マスコミ四媒体広告費
このように軒並み減少しています。
1年間だけのデータだけを抽出しましたが、2018年以前からも少しずつ減少している状況です。
このようなことも相まってネット広告の市場規模は上昇しています。
【世界編】ネット広告の市場規模はどれくらい?
日本のネット広告について触れてきましたが、世界規模でのネット広告の市場規模はどうでしょうか?
ネット広告の市場規模推移
上記の画像を見てみると、2019年は5,921億ドル、日本円で約61兆円です。
日本でも年々上昇傾向にありますが、世界規模でも数%ずつ上昇しています。
ネット広告で世界的に商品を配信することができる
ネットを見ていて外国の電子商材の広告を見たことがないでしょうか?
例えば、動画広告であれば英語のスペルや文法を修正することができるツールの広告が日本国内にいても見ることがあります。
このように自社商品を世界規模で流通させることができることも、ネット広告市場が右肩上がりしている要因にもなっています。
【ジャンル別!】ネット広告の市場規模推移
一概にネット広告といってもリスティング広告やYouTube広告やSNS広告など、多種多様なジャンルがありそれぞれ全く違った特徴があります。
その中でもどのジャンルがどのように伸びているのか見ていきましょう。
どのジャンルの広告が成長しているの?
まずは1年間でどんなジャンルが成長しているのかグラフを見てみましょう。
基本的に全てのジャンルの広告が成長していますが、その中でも検索連動型広告、ビデオ広告が軒並み成長していることが分かります。
検索連動型広告は安定した効果が得られ、規模が増加している
検索連動型広告はリスティング広告ともいわれていますが、基本的に文章だけの広告です。
文章だけの広告は効果が低いのではないかと思われがちですが、「検索連動型」というのがポイントで広告をクリックした人からの購入率は他の広告より高い傾向にあるため、今後も安定した伸び率になることでしょう。
ビデオ(動画)広告は同じ時間でも密度が異なるため多用される傾向がある
次に伸びているのが動画広告です。
最近ではYouTubeなどの動画配信サービス、そしてTwitchといった放送サービスで動画広告がよく使用されています。
今までの文章広告、画像広告では視覚のみで印象を決める要因となっていました。
しかし、動画広告ではより立体的に、視覚、聴覚を使って見せることで印象に残る広告を創り出すことが可能になっています。
だからこそ多くの企業では動画広告に力を入れ始めているので成長率が高い傾向にあります。
ネット広告の今後の市場規模はどう予測する?
ネット広告の今後の市場規模ですが、数年以内に一度頭打ちになる可能性があります。
その要因としてユーザーの広告離れ・サービスの有料化が挙げられます。
ユーザーの広告離れ・サービスの有料化が増加する
SpotifyやApple Music、YouTubePremiumなどのサービスでは月額数百円~千円程度で有料会員になることができ、広告を一切表示せずにサービスを楽しむことができます。
このように広告を見ずに快適に本来のサービスを使用することができるように、一部のサービスでは有料プランが作られています。
ユーザー自身が広告に対して拒否反応を示すことが以前より顕著になったこともあり、広告配信メディア自体が本来のサービスから離脱しないように広告を表示させない有料サービスを設けています。
実際にSpotifyやApple Music、YouTubePremiumなどの有料会員数も増加傾向にあり、今後も下がることは考えにくい状況です。
広告を非表示にできる有料サービスってユーザーにとってはメリットだが・・・
広告を非表示にしてサービスを楽しむことができるのはユーザーにとってはメリットですが、ネット広告業界からすると非常に大きなデメリットになりかねません。
広告を出稿する立場で考えてみたときに、単純に広告が表示されるユーザーが減ります。
そうなると広告を出稿する本来の目的の自分の商品を販売したい、認知度を広げたいという目的から遠ざかってしまうので、そのメディアで広告を出稿することを控え始めます。
このような大型メディアがなぜ無料で運営ができているのか、それは広告収入があることが大きな要因です。
しかし、広告主が少なくなってしまうと最終的にサービス自体が有料サービスになり無料で使用していたユーザーは淘汰される可能性もあります。
レッドオーシャン化が加速し、現在ある広告タイプへの参入が難しくなる
冒頭でもお話ししたように世界規模でネット広告の市場規模が増加しています。
そこで発生することはレッドオーシャン化です。
参入企業が増え、ネット広告に割ける予算も増えていくことで全体の広告費がインフレが起こりかねません。
現状広告費の高騰は起こっていませんが、初めて参入して広告を出稿したが、広告費を使っただけで全く成果が上がらなかったということも少なくありません。
レッドオーシャン
競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」
今現在でもネット広告業界で安定した流入、収益を達成するためにはかなりのノウハウが必要になっています。
そこで使用するのが「広告代理店」という広告業務を委託することができる企業です。
広告代理店は大企業の電通をはじめ今では約2,600企業もあります。
ノウハウを持っている企業が2,600社もあることから、知識だけの人が参入してもほぼ上手くいきません。
だからこそ参入してもノウハウを持っていない限り最初は上手くいくことが難しいです。
新たな種類の広告が出てくる!
今まで紹介した広告が全てだろうと思われがちですが、ネット広告業界は日々進化をしています。
最近ではVR(バーチャルリアリティ)やAR(オーグメンテッドリアリティ)を使用した広告も進出しています。
今までの広告と人間の心理状態を照らし合わせても、
- 商品を認知する
- 商品に興味を示す
といった2つの工程を進めることで実際に流入させることが可能でした。
しかしVRやARでは、
- 商品を認知する
- 商品に興味を示す
- 商品を実際に試す(体験する)
これが現実以外のバーチャルな空間で行うことができるようになりました。
ARはポケモンGOといったアプリが公表され、かなり普及してきましたが、VRはまだ普及段階にあるのであまり効果が見えないかもしれませんが、あと数年も経てばVRが一般的になることが予測できるので、この広告の真価が発揮されることでしょう。
これから生き残る広告の種類は?
今まで市場規模についてお話ししていきましたが、最後にこれからどんな広告が生き残っていくのかについてお話ししていきます。
文章広告は今後も生き残るが競争率が高くなる
文章広告はネット広告がどのような変化を起こしても生き残っていきます。
しかし、リスティング広告のようにキーワードに入札する場合には競争率が高くなり広告費が高騰する可能性があります。
クオリティよりクリエイティブ・オリジナリティが重視される
今でも画像・動画広告で手を止めてみてしまう広告はどのような広告でしょうか?
一度も見たことが無いような広告だったり、一体何の広告なんだろう?と思ってしまうものは手を止めて見られがちです。
今まで見たことのある広告のパクリだけでは全く成果が出せず生き残ることはほぼ不可能に近いです。
だからこそ、クリエイティブ・オリジナリティのある広告を自分自身で考え、創り出すことが生き残るポイントになります。
まとめ
この記事では、ネット広告の市場規模、そしてネット広告の未来とこれから生き残るであろう広告についてお話ししてきました。
ネット広告はその場にいても全世界に自分の商品を認知させる非常に素晴らしいツールです。
だからこそ広告代理店など、競争率も激しいのが現状ではあります。
しかし、ニーズは日々変化し、今までのノウハウは少しずつアップデートしていかなければいけません。
今入ってももう遅いということはないので、ネット広告を使用するのであれば今からでも参入してみてはいかがでしょうか?