ネット広告業界にAIが普及するとどうなる?実例5選踏まえて今後を徹底解説!
AIという言葉は最近よく耳にする言葉ですね。
今ではそのAIが様々な事業で使用されており、そのジャンルは医療から投資、金融まで多種多様です。
そんなAIですが、実はネット広告でもGoogleを始め、様々な広告業界に活用されています。
そこでネット広告でどのようにAIが使用されているのか、そしてAIの進歩で広告主はどのように運用方法が変化していくのかなど、AIについて全て解説していきますので、ぜひ参考にして下さいね。
ネット広告にはAIがどのように活用されているの?
ネット広告でAIが使用される代表的な種類は「運用型広告」です。
運用型広告とは、インターネットにおいて近年主流となっている広告で、「ネットユーザーの広告反応目標に達成するように、リアルタイムに入札額やクリエイティブ、ターゲット等を変更・改善しながら運用し続けていく広告」のことである。
引用:Wikipedia
なぜ運用型広告にAIが活用されているのか、それは3つの理由があります。
運用型広告は日々メンテナンスが必要
AIが運用型広告に使われる理由の一つがメンテナンスに手間がかかる点です。
固定費で一定期間広告を出稿する純広告の場合は、一度広告を出稿してしまえばそれ以降は何もせずとも広告からの流入が期待できます。
しかし運用型広告の場合は、そもそものネット広告の種類が違います。
課金方式なのでこまめにチェックしなければいけない
運用型広告の特徴は何といっても広告費の仕様です。
純広告では一定期間メディアが提示した金額を支払うことで広告を出稿することができますが、運用型広告はインプレッション課金(広告を1回表示させること)と、クリック課金の2種類があり、実際に広告を表示されること、またはクリックされることで広告費用が発生します。
こういった仕様で運用型広告は広告費を節約することもでき、純広告のように一度に数十万円の広告費を支払うこともないので手軽に広告を出稿できる反面、日々メンテナンスを行わないと効果が下がってしまいます。
関連記事:【おすすめ運用法有】ネット広告で運用型広告を始めるなら仕組みを理解せよ!
高いノウハウが必要
運用型広告では「ターゲティング」という機能があるので効果が出やすいのは事実です。
しかし、その設定項目が多く、例えばどの年代、何に興味がある人なのか(どんなキーワードを検索するような人なのか)といった細かい設定をすることができるので、ネット広告初心者には非常にハードルが高くなっています。
何度もトライアンドエラーを繰り返して、ノウハウを蓄積することで安定した広告運用をすることができるようになりますが、ノウハウを貯めるためには知識を蓄積したり、広告運用の結果を考えたりと時間と労力がかかってしまいます。
手間をかけないために広告代理店を活用する方法もある
そこで今主流になっていることがAIではなく、広告代理店を活用する方法です。
広告代理店を活用することで、上述した手間とノウハウが必要という条件を全て広告代理店に任せることができるからです。
ただし広告代理店に依頼をすることは手軽にネット広告を出すことができる反面、デメリットも存在します。
そのデメリットは、まず一つ、自分にはネット広告の出稿ノウハウを蓄積することができません。
さらに自分で出稿するまでのノウハウとまではいきませんが、ある程度のノウハウがないと広告代理店が何を行っているのかが理解しづらいといったデメリットもあります。
無駄なコストがかかる可能性がある
そして3つ目にコストが余計にかかる可能性があるという点です。
運用型広告は、広告の効果を高めるためにABテストといった様々な手法を利用します。
ここではABテストを例に出しますが、画像広告の場合には2つ以上の素材を準備し、同じ条件で広告を出した場合にどちらが広告効果が高いのかをテストする手法です。
この手法は継続的に行うことで広告のブラッシュアップになり、長期的な視点では広告効果を維持することができます。
そのため多くの企業でも使用されていますが、ここで一方は広告効果が高かったが、片方が広告効果が低い場合でも広告費を一定金額支払わなければいけません。
このように運用上の手法でも広告費が余計にかかってしまうことがあります。
広告代理店を利用するとさらにコストがかかる
2つ目で広告代理店を利用することで手間とノウハウを蓄積する時間を削減し、いち早く効果を見込むことができるというお話しをしましたが、広告代理店を利用することでも追加で費用が発生してしまいます。
広告代理店のコストの仕組みは大きく分けて3つあります。
- 初期費用
- 運用費用(固定)
- 運用費用(従量)
広告代理店は主にこの3つの報酬で成り立っています。
まずは初期費用ですが、大規模な広告代理店ほど高額な印象です。
中小規模の広告代理店の場合は無料~50,000円程度かかります。
しかし、これは広告を準備していることが前提なので広告を準備していない場合には広告作成費用として追加でかかってしまいます。
次に固定の運用費用を説明する前に従量型の運用費用について、これは基本的に広告費用は依頼する広告主から支出するようになりますが、月にかかった広告費用の〇%という仕組みが取られています。
そして最後の固定の運用費用ですが、月にかける広告費次第で変動することが多いです。
月に1000万円以上かける場合には固定費用が掛からない場合が多いですが、数十万、数百万円となると固定費用として数万~数十万円かかることもあります。
広告代理店に依頼する場合には、運用する広告費の規模を鑑みてどのような広告代理店に依頼するのが適切なのかを把握しておく必要があります。
広告代理店は現在全国に数万社以上ありますので選び方を間違えてしまうと損の原因にもなりかねません。
関連記事:ネット広告とテレビ広告の違いとは?種類を併せて解説!
ネット広告でAIを使用している実例5選
ここまで運用型広告にAIが利用されていることをお話ししましたが、ここからは実際にどんな場所でAIが利用されているのか、今ネット広告でAIがどこまで導入されているのか開発・導入している会社とそのAIの内容を紹介していきます。
サイバーエージェント「極予測AI」
画像出典:CyberAgent
まずは株式会社サイバーエージェントがリリースしている極予測AI(きわみよそく)です。
このAIについてお話しする前に、前提として1つ情報を知ることでこのAIの強みを感じることができるので、まずはそのお話しをしていきます。
ネット広告にはアイディアが必要不可欠
広告は中長期的に同じ広告を出稿していても効果は徐々に薄れていきます。
その中でも運用型広告の効果の現象は顕著で、何度も広告の内容、例えば文章を変更したり、画像や動画のコンセプトを変更したりすることで広告効果を維持したり、向上させることができます。
そこで必要なことはアイディアです。ネット広告市場では他の業界以上にアイディアがあれば勝ち残っていくことができる世界。
逆に何もアイディアも無しに他の広告の丸パクリをしているような人たちは瞬間的には興味を持たれるかもしれませんが、高確率で撤退していきます。
新規の広告を作成するのには手間がかかる
アイディアも大事ですが、アイディアを出してもそれを実際に作成する必要があります。
文章であれば考えた本人が変更することができますが、画像や動画の場合は簡単にはいかないことがほとんどです。
アイディアを伝えて、新規で作成したり、修正しますが、もしイメージ通りでなければ再度修正をして・・・とかなりの時間がかかってしまいます。
最初にもお話ししましたが、運用型広告の場合、効果が日々変化していきます。
だからこそ広告効果を維持しようと別のターゲットに配信することもありますが、効果が芳しくなかったりと、ターゲティングの変更にはリスクがあります。
極予測AIでは制作から効果予測まで全てAIが担当する
少し長くなりましたが、この運用型広告のデメリットを解消するのが極予測AIです。
極予測AIは一度に様々なアイディアの広告を制作し、それぞれを事前にABテストのように効果測定を行うことで、最適な広告をピックアップしてもらえます。
新しく広告を出す時に不安になる理由の一つに「この広告で本当に効果があるのか?」という気持ちが強いですが、膨大なデータと結果を機械的に予測し、感情を抜きにして効果を出してもらうことができるので、ネット広告を出稿するときの不安はほぼ取り除くことができます。
株式会社電通「AICO」
画像出典:電通
次に紹介するのは株式会社電通が開発したリスティング広告専用コピーライティングを行うAIです。
コピーライティングは文章だけでユーザーに伝えなければいけないので画像や動画以上に知識や工夫が必要です。
人力で作るのも可能ですが、かなりの労力がかかってしまいます。
そこでそのコピーライティングをAIに任せることで人力だと数十個しかアイディアを出せないのを数百個単位で作り出すことができます。
コピーライトの費用を削減できるうえに、コピーライトをする時間が削減できるので業務の効率化ができるようになります。
博報堂「BLAND STYLE ANALYZER」
画像出典:博報堂
次に紹介するのは、博報堂のAIを活用したサービスです。
一般的に運用型広告で非常に苦戦するのはターゲティングですが、この「BLAND STYLE ANALYZER」を利用すると、
- どんな人が興味があるのか
- どんなタイミングで見られているのか
- 文章の中で何がキーワードになっているのか
このようにそれぞれ抽出することができ、ターゲティングを行う場合にはその解析結果を利用することで自分が想定しているブランディング通りの広告になっているのか、そして適切なターゲットへのリーチを可能にすることができます。
さらに興味があるジャンルを抽出しているのでリーチだけではなく、クリック率も安定した数値を出すことが可能になる可能性があります。
ブランディングを再発見することができる
ターゲティング以前に必ずチェックしなければいけないことは先ほどもお話ししましたが、ブランディングです。
ネット広告ではあくまでも集客するためのツールなので、その後、ブランディングがブレていると最終的なコンバージョン(購入や会員登録など)が下がってしまいます。
そこでこのAIを利用することでターゲティングだけではなく想定していたブランディング通りになっているかも再確認することができ、最終的な利益にも繋がります。
サイバーエージェント「極予測AI人間」
画像出典:CyberAgent
先ほど株式会社サイバーエージェントが開発した極予測AIを紹介しましたが、今回は語尾に人間を追加しただけの極予測AI人間です。
2020年には新型コロナウイルスの影響もあり、画像や動画広告にモデルを撮影し、広告素材にする場合は以前より手間がかかるようになりました。
さらに広告に適したモデルは海外のモデルであれば尚更撮影までの手間がかかるようになりました。
撮影場所を自宅にする方法もありますが、コンセプト次第で自宅で撮影をしてしまうと広告のブランディングが揺らいで逆に広告効果が薄れてしまったりとデメリットも生じてしまいます。
そこで多くの企業が人物を起用せずにアニメ調の広告であったりイラスト調の広告を制作したり、既存の広告をアレンジすることで目新しさを見せる工夫をしています。
しかし、同様の工夫を行っていることもあり、ユーザー目線では目新しさが無くなってしまいます。
そこで3D技術とAIを融合させ、広告に最適な人物像を作ってしまうのが極予測AI人間です。
広告に最適な「架空人物」を創り出すことができる
架空の人物なので撮影をする必要もなく、多数の架空人物を準備、撮影したかのように広告を制作することができ、製作コストを節約するだけではなく、先ほど紹介した極予測AIのように多種多様の人物像を準備し、広告効果を測定することで、最も広告効果の高い人物像を創り出すことができます。
ネットバッシングがほぼ起こりえない
素人でもモデルを起用しても、リスクとして付きまとうのがネットバッシングです。
例えばその広告の内容が芳しくなかった場合に批判されるのは、その広告を出している会社だけではなく、撮影されている素人やモデルも批判の対象になりかねません。
そのため、起用する場合でも契約内容を細かく調整をして撮影をしたりとサポートを欠かせませんが、AIの仮想人物を導入すると、存在するようで存在しない人物に対してはバッシングの対象になりにくく、リスクを最小限にすることができます。
Google広告「広告枠の入札」
画像出典:Google
実はGoogle広告でもAIが導入されています。
AIはクリック単価の入札という領域でAIを利用しています。
クリック単価は日々変動するのでクリック単価を一定にしてしまうと、日々の広告効果は変動してしまいます。
しかし日々確認しても1日中クリック単価は変化しているので、広告効果を最大にするためには1日中付きっ切りで監視しておかなければいけません。
しかしこの業務をAIに任せることで、設定した予算を最大効率で入札することができ、効率化に繋がります。
ネット広告市場にAIが発展した先とは
これまでネット広告でAIがどのように利用されているのか、そして実際の導入例についてもお話ししてきました。
それではこれからネット広告業界でAIが発展することにより、今後のネット広告業界ではどのような変化があるのかについて考えていきます。
参入障壁が圧倒的に下がる
まずは参入障壁が下がることです。現在でも広告メディアの広告をよく見かけますが、「100円からでもネット広告を出せる」といった広告で新規参入者を増やしています。
今でもその金額で広告効果を発揮させることも不可能ではありませんが、ごく一部の広告主だけです。
しかしAIの導入により広告主の商品とターゲティングでどのキーワードが適切なのか、どの層へターゲティングを行うのが適切なのかを制御することができるようになると、ネット広告のことを一切知らない人でも大部分をAIに任せることで「効果を発揮しやすい広告」を出稿できるようになります。
このような要素があることで参入障壁が格段に下がる予測ができます。
制作にかかる費用(広告制作費用)が削減される
次に制作にかかる費用が削減される点です。
運用型広告は定期的に新規広告を作成していくことで広告効果を維持、向上させていきます。
しかし、定期的に広告を準備するといっても画像広告や動画広告の場合、画像でも最大で数千円~1万円程度、動画広告になると30秒の動画だけでも10万円近くかかることも少なくありません。
その中でABテストを手動で行う場合には、別の広告素材を準備しなければいけません。
これだけでも広告制作費用は想定の倍以上。さらに出稿もその分余分に行わなければいけないので、広告運用費用も余計にかかってしまいます。
AIに効果測定までされた広告を準備してもらえる
既に実例を紹介したように、AIに大量に広告素材を作ってもらい、それぞれどの程度広告効果を出すことができるのかを分析、そして最適な広告を準備してもらうことができるAIをリリースしています。
しかし現状まだ普及の第一歩を踏み出しただけで、未だに一部の企業でしか使用されていません。
ですが将来的には、ネットブラウザ上でも広告素材を準備、広告のコンセプト、色などを指定するだけで広告ができるようになる時代が来るかもしれません。
データが蓄積されて更に効果が洗練されていく
AIは現在でもかなりのデータを保有しておりますが、AIでも失敗があります。
その原因の一つにデータが不足して状況に応じた適切な対応ができなかったということもあります。
しかし、日々データが追加されるので数年後には今の数倍以上のデータを保持して一般的な状況から特殊な状況に至るまで常に最適な判断をできるようになる可能性があります。
このようになると、広告代理店は更に経費削減、事業効率を上げることができるので、広告主の広告代理店にかかるコストが安くなったりとメリットは多いです。
ノウハウ(データ)を保持している広告代理店が生き残る
広告主だけではなく、広告代理店にも大規模な変革が起こりえる可能性もあります。
AIはデータを蓄積することで精密度を増します。逆にデータが少ない時期には精度が低く顧客満足度もかなり低い状態から始まってしまいます。
そのため、今データを集めておくことで今後生き残る可能性もあり、更に成長を遂げることもあります。
アドフラウドが減少していく
これは希望的観測になりますが、アドフラウドが減少していく可能性があります。
アドフラウドとは
アドフラウドとは、ネット広告配信において起きている詐欺的な不正行為のこと。
アドフラウドについて簡単に例を出すと、メディアを運用している人が広告費欲しさに本来ユーザーに広告を表示しなければいけないが、1ピクセルほどの大きさに広告を小さくし、大量に設置することで不正に広告費を受け取ったりする行為です。
そんなアドフラウドはネット広告市場の成長を妨げている最大の要因になっており、市場規模の中の約9%がアドフラウドの被害にあっているとも言われています。
ネット広告市場規模は現在約2兆円規模ともいわれており、その9%なので1,800億円も被害を受けている計算になります。
しかしAIが普及することで異常な数値をいち早く受け取りその対策も即座に行うことができるようになり、アドフラウドの被害が減少していく可能性があります。
ですがいい話だけではなく、悪用している人がAIを使用する場合もあり得るので減少していくとは一概に言えず、今後もいたちごっこが続いていくことも視野に入れておくべき内容です。
この予測は遠い未来ではなく数年後に起こりえるかもしれない
今後の展望までお話ししましたが、いかがだったでしょうか?AIという言葉をよく耳にしますが、結局何ができるの?と思われる方が多いかもしれません。
しかしそう思っている最中でも普段の生活、そしてネット広告業界をはじめ、様々な業界でも普及していっています。
広告をAIに作ってもらってそんな効果が出るわけないと思ってしまいますが、数年後はAIに作られた広告が上位を独占している未来まで想定することができます。
ネット広告ですぐにでも導入してみたいと思っている方も今回紹介した実例など深掘りしていってみてはいかがでしょうか?