ネット広告が陥っている問題点4つとは?今真剣に見つめなければネット広告の未来は無い!
広告と聞くと以前はテレビCM等の広告が一般的になっていましたが、現在では広告と聞くとネット広告とイメージする人が多くなりました。
実際に現在のネット広告費はテレビCMを超え広告のシェアとしてトップに立つほど実用的で参入企業も増えてきています。
そんなネット広告ですが、良い反面、問題も多数孕んでいます。
そこで今回はネット広告の問題点を4つ挙げていきます。
目次
ネット広告の問題点その1:レッドオーシャン化
まずはネット広告業界のレッドオーシャン化という点を挙げていきます。
レッドオーシャンとは
競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」とし、競争のない未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海、競合相手のいない領域)」を切り開くべきだと説いている
広告費は以前は1兆円にも満たない規模だったのですが、現在では2兆円、3兆円規模となり、徐々に広告費も高騰、そして参入者が多いために競争が激化している傾向にあります。
レッドオーシャンになった時に起こりやすいこと
レッドオーシャン化という話をしましたが、では一体レッドオーシャン化すると何が問題になってしまうのかという点について解説していきます。
先ほどもお話ししたように、レッドオーシャン化してしまうと競争が激化するようになります。
そうなってしまうと必ずと言っていいほど、広告費が高騰し続けます。
ネット広告でも「入札」という言葉はよく使用されますが、オークションをイメージしたらわかりやすく、全く同様の商品を、10人がチェックするのか、100人がチェックするのかで金額は変化します。
100人がチェックする場合、入札頻度は高くなり金額も相乗的に高騰するようになります。
いかに資本を持っているのかが重要になってくる
そこで最終的に勝ち残る企業や個人は「資本」を持っているか否かという結果になってしまいます。
現在は個人でも手軽に参入できるように工夫されているのがネット広告業界ですが、今後徐々に広告費は高騰していく可能性があります。
しかし、競争が激しいレッドオーシャンの中でもシェアが少ないニッチな分野が存在する可能性があるので、その分野を発見することも資本以外で勝ち残る手段の一つです。
個人単位ではデメリットが大きいが業界単位ではメリットも大きい
これだけ見るとレッドオーシャンになってしまうと新規参入企業や個人にとっては厳しい市場になりかねません。
だからこそよく数百円でネット広告が出稿できるという謳い文句で参入者を増やそうとしますが、徐々に参入者は減少していきます。
しかし、ネット広告業界全体で見るとメリットが非常に大きいのも事実です。
例えば、Google広告への出向ユーザーが増加すると業界に流れるお金が増加することで追加のサービスを展開することができたり、新規の広告形態をリリースすることができたりと、さらに業界全体で成長をすることができます。
ネット広告の問題点その2:品質問題
レッドオーシャン化はデメリットだけではなくメリットも含んでいました。
しかし、ここから提示していく問題点は全てにおいてデメリットしかありません。
まずは「品質問題」についてお話ししていきます。
広告の品質をチェックすることが難しくなってきている
ネット広告業界は5年~10年以上成長し続けている中で、なぜ今になって品質が問題視されているのでしょうか。
その原因の一つとして「参入者が増えたから」です。
大企業や一部企業は基本的に広告代理店に委託し、広告を出稿することが今までは常識でした。
しかしネット広告では広告代理店を介さずに自分でできるのでどんな広告でも出稿することができます。
今まで一般的なテレビCMを含め、ネット広告では純広告等でも厳密に審査がありました。
しかし、アドセンス広告やSNS広告やYouTube広告のような運用型広告では参入者が多く掲載メディア数も多く、審査が曖昧になっているのも事実です。
最近では品質を改善するためにAIを用いたりと様々な工夫がされています。
誰でも出稿することができるネット広告の仕組みは非常に素晴らしいものですが、その分しっかりとした審査をしないとユーザーにとって何のメリットもない、ただの邪魔な表示という印象のみとらえられてしまい、広告だけではなく、掲載メディア自体も悪印象を持たれてしまうので注意が必要です。
そんなネット広告業界の中でも明らかに品質が悪いと感じてしまう業界が2つありますので、それぞれ紹介していきます。
スマートフォンアプリ業界
特に無料でプレイすることができるソーシャルゲームは顕著で一度見たことがある方はご存じかもしれませんが、広告の内容と実際にダウンロードしてプレイした内容と乖離しているゲームが非常に多くなってきています。
更に内容の乖離だけではなく、この後紹介するアドフラウドのように短時間で何度も広告を表示させる手口もあり、ユーザーが離れていっています。
近い未来、ゲームのネット広告が衰退する原因になりかねない
このように実際のプレイ内容と乖離していたり、短時間で何度も広告を表示させていく手口が横行すると今後、どうなっていくのかというと「衰退」です。
一般的に考えて詐欺のような広告を見て誰がクリックし、誰がアプリをインストールするのかと考えた時に、ほぼ全員クリックすることはないでしょう。
すると広告効果が徐々に低くなり、スマホゲーム業界でネット広告を利用するメリットが無くなり、誰もネット広告を使用しなくなってしまいます。
今無料でスマートフォンアプリが飽和するほどあるのはネット広告の影響が非常に大きいからです。
そこでスマートフォンアプリの広告市場が衰退してしまうと、今後スマートフォンアプリ自体が全て有料でリリースされることも想定できます。
YouTube広告(動画広告)
次にYouTubeのような動画広告です。
動画広告はユーザーが能動的に見るのではなく受動的に広告を見ることができるので、認知を広げたりするツールとしてネット広告がよく使用されています。
そんな動画広告も品質が問題になっています。
その品質にも2種類あるのでそれぞれ見ていきましょう。
動画のクオリティが悪い
最初に純粋にクオリティが低い点です。
意図的にクオリティを下げることでユーザーへの印象に残るような戦略は有効ですが、それ以外に今まで出している動画の使いまわしであったり、何分も何の広告なのか分からないような広告も多いです。
最近ではマンガに声を当てて動画にした広告をよく見かけますが、後日同様の広告では全く同じ内容を早送りにしただけの広告が表示されたり、一体誰にニーズがあるのか見当がつかない動画広告も増えています。
いかにも胡散臭い広告
次にYouTube広告でよく表示される広告がこの部類に当たります。胡散臭い広告というと例えば
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どう考えても胡散臭いですよね。しかしクオリティは悪くなく、YouTubeの審査でも通ってしまうような内容です。
最近のYouTube広告では大手企業のクオリティの高い広告よりこのような広告が大量に表示されています。
このような広告を排除するためには広告主や掲載メディアの努力だけではなくユーザーからのフィードバックが必要不可欠です。
どんなネット広告にも「報告する」という機能が存在します。
これはその広告がこれ以上自分の端末上に表示させないようにすると同時に、報告が多い広告を排除する仕組みでもあります。
だからこそユーザーからのフィードバックを行い品質を向上させることも大切です。
ネット広告を使用しても一切効果が無くなってしまう時代が来てしまう!
このように低品質のネット広告が横行してしまうと、ユーザーが広告を一切見なくなってしまいます。
その結果、一般的なネット広告のクリック率は0.5%ほどと言われていますが、その平均的な数値が減少していき、ネット広告業界でもクリック率をどのように獲得するのかの競争が激化し、広告の品質改善が見込めればいいのですが、問題はそうならない場合です。
品質を顧みずとにかく広告を出稿するという広告主が増えてしまうと悪循環に陥ってしまい、最終的に全く効果が無くなってしまうこともあり得てしまいます。
ネット広告の問題点3:アドフラウド
ネット広告の問題点の中で最も優先的に解決してもらいたいのが「アドフラウド」です。
アドフラウドと言っても最初は何のことなのか理解することが難しい方もいるので、まずは単語の説明からしていきます。
アドフラウドとは?
アドフラウドは簡潔に言うとネット広告上での不正行為のことを指します。
アドフラウドとは、ネット広告配信において起きている詐欺的な不正行為のこと。
ボットなどの自動プログラムを悪用して不正にインプレッションを増やしたり、広告クリックを水増ししたりする手口が使われている。
人ではないロボット相手に広告が表示されることになるため、広告主にとっては広告費の無駄打ちになってしまう。
でもネット広告での不正行為とは?と思われる方も多いので、次にその不正方法の代表的な手口を紹介します。
広告を詰め込む手口
まとめサイトなどでよく見かける手法ですが、ページ内の至る所に広告が表示されており、本来ユーザーが見たい記事は何度もスクロールしたりと探さなければいけなくなっています。
多くの企業で使用されるコンテンツポリシーとして大手のGoogleを例に出しますが、
広告やその他の有料の販促用コンテンツが、ニュース コンテンツよりも多くならないようにしてください。スポンサー コンテンツについて、独立した記事コンテンツの一部であるかのように偽ったり、スポンサー コンテンツであることを隠したりすることは認められません。
このようなポリシーでないとユーザーが本来知りたい情報を見ることができず、ミスクリックもクリック課金という形に計上されてしまい不正に広告報酬を受け取れるようになってしまいます。
広告を隠して表示する手口
広告の詰め込みと対称的に広告を隠す手法です。クリック率の平均が0.5%ということで大半の人は広告に一切興味がありません。
その状態で広告をいくつも掲載してしまうとメディアとしての質が落ちてしまい、ユーザーが離れていってしまいます。
そのようなことを防ぐために広告を掲載しないという方法がありますが、収益が下がってしまいますよね。
そこで広告を隠して表示することで、ユーザーには見えていないが広告を表示しているとシステムに誤検知させ、インプレッション報酬を不当に得る手口です。
よく見る手口の中ではユーザーにほとんど気づかれない手口、更にはインプレッションだけではなくクリックさせるために、バナーを隠して表示させタップさせると誤タップに見せかけ別ページに遷移させる手口など多種多様です。
ページを頻繁にリロードさせる手口
本来同様のページを再度閲覧することでインプレッション数がカウントされていきますが、クリックすると別のウインドウで再度同様のページが表示される仕様のサイトがあります。
この他にも広告枠のみがリロードされ何度表示され広告のインプレッション数を不正に水増しすることができます。
そうなってしまうと広告主は余計に広告費を支払うことになり、メディアの管理人は不正に利益を受け取ることになります。
拡張ツールによる不正にメディアに広告を埋め込む手口
これは一種のウイルスに近い方法です。ブラウザの拡張機能等を使用することで表示しているメディアに広告を挿入することができます。
さらに広告を挿入するだけではなく、基本的には広告掲載料としてインプレッションやクリックがあることで広告報酬が発生します。
しかし、この方法は表示しているメディアに報酬は支払われることはなく、ウイルスを準備した大元に報酬が入る仕組みになっているので一種の詐欺手法です。
この方法はメディアにはほとんど伝わらず、ユーザーも広告が不自然でない限り無視して進んでしまうので双方で気づかれにくく予期せぬ形でメディアの信用を損なう恐れがあるため注意が必要です。
日本ではアドフラウドに対する法整備がされていない
これまでアドフラウドの具体的な手口を紹介してきましたが、日本でアドフラウドの被害額は数億~数十億とまで言われています。
これだけの被害がありながらアドフラウドをしている犯人が逮捕されたケースは一度もありません。
ましてやネットのニュースにすらなっていない状況です。
アドフラウドは未だに日本では法整備がされていないので立件や逮捕といったリスクも少ないのが現状です。
だからこそ犯罪の温床になることもあるので様々な企業で対策を講じています。
法整備より先にアドフラウド対抗策が続々実施されている
しかし、法整備以前にネット広告業界全体でアドフラウドの対抗策を順次展開するようにしています。
例えばアドフラウドを排除するためのツールの提供など、最近では大々的にアドフラウドが認知、理解され始めています。
広告主はアドフラウドの対策を必ず講じることで今後生じる広告費の最適化、広告効果の向上といったメリットがあります。
ネット広告の問題点その4:モラル・リテラシー
最後にモラルとネットリテラシーです。
これはネット広告だけではなく、広告主やユーザーといったネットを利用する全ての人に対して言えることで、今までお話ししてきた問題のほとんどがモラルやネットリテラシーを持っていれば減少するでしょう。
クリック率が1%にも満たない市場でどのようにユーザーにクリックさせるのかを追求することを考えすぎて差別的な広告を出したり、今では広告でヘイトスピーチを行いクリック率を稼いだりして問題になっています。
法整備されなければ何をやっていいというのはモラルではない
「逮捕されなければ何をやってもいい」と言う方がいますが、それは大間違いです。
目先の利益を求めてなんでもやってしまうと未来の成長を阻害してしまいます。
人間は目先の利益に囚われやすいです。その金額が高額であれば高額であるほど顕著に現れます。
しかし最終的にクリックするかしないかの判断はユーザーに委ねられています。
なんでもやる人、ユーザーのことを考え広告を出稿する人と最終的にどちらに軍配が上がるかということを考えると、最終的にはユーザー第一の広告主が圧勝します。
更には顧客の信頼も得ることができ、WIN-WINの関係を作ることも可能です。
広告主もだがユーザーも対策を取らなければいけない
今回はネット広告の問題について触れてきました。
ネット広告市場はこれからもVR広告など様々な場面で広がりを見せていますが、その背景には今回紹介したような問題点も存在しています。
しかし広告主だけが対策をするのではなく、アドフラウドのようにユーザーが対策を取らなければ広告主に被害が出ることも少なくありません。
だからこそネット広告の問題を解決するためには、広告主とユーザーの距離を近づけ相互的に情報共有を行うことが大切になります。
このネット広告の問題を他人事だと考えず、個人ではどのように動くことで対策ができるのかを考えてみましょう!